介護レク特集 vol.1 介護現場でレクレーションが担う役割

使えるハウツー

レクリエーション介護士 講師による連載コラム 介護現場のレクの悩み あるあるをスパッと解決vol.1
現在、介護サービスの種類には様々なものがあります。デイサービス、特別養護老人ホーム、グループホーム、有料老人ホームなど・・・。 その多くの現場で、レクリエーションが実施されています。

この「レクリエーション」ですが、ほとんどの施設で実施されているものの、絶対に行うべきものなのでしょうか。

結論から申し上げると、答えは「YES」です。
介護の現場にレクリエーションは必ず必要です。そしてそれは大変重要な役割を担っています。

なぜでしょうか?

施設には介護が必要な高齢者の方々がいらっしゃいますが、私たちと同じ人間です。ですから、まずは私たちに置き換えて考えてみましょう。

選択と楽しみ

私たち・・・(働く世代)とします。多くの方が週に5日仕事をしていることと思います。まず、朝起きて身だしなみを整えます。着ていく服がスーツであれば、どの色のスーツとワイシャツを組み合わせるか?ネクタイはどうするか?靴はあっているか?朝食であれば、パンにしようか?ご飯にしようか?

出かけるまでにも、私たちは実に多くの選択をしています。そしてその選択は全て自分の好みによって選ばれています。「仕事に着ていく服」にしても、そもそも買い物のときに店に並んだ多くの服の中から好みのものを選んでいるはずです。

通勤は、電車の方、車の方、これもまた人によって手段は様々かと思います。しかしながら電車に乗って周りを見渡すと、皆さん通勤中に実に様々なことをしています。音楽を聴いている方、読書をしている方、スマホを見ている方、寝ている方・・・ 移動中にも各自が自分のライフスタイルにあった何かを必ず選択してその時間を楽しんでいるのです。

職場では気の合う同僚を見つけ、一緒にランチを楽しんだり、時には仕事帰りに食事などもするかと思います。

日々の仕事が忙しくて、とても自分の時間なんて取れない!そう感じていらっしゃる方も多いかと思います。しかし、私たちはこうした日々の生活の中で無意識にとても上手に楽しみを盛り込んで生活をしているのです。そしてこうした小さな楽しみひとつひとつが合わさって、日々の充実に繋がっています。

もしも、こうした楽しみがなくなってしまったらどうでしょうか?

髪型も服も食事も全て決められて、ただ流動的に毎日を過ごすとなるとどうでしょう?少し、想像してみてください。
通勤時間でもすることを決められて、職場では互いの交流を禁止される。仕事が終わると、また決められた通りに電車での時間を過ごし、帰ってからもただ出されたものを食べ、寝るだけ。

おそらく多くの人が、そんな毎日はいやだ~!と叫んでしまいそうになりませんか?

高齢者の能力低下と楽しみ

さて、お話を高齢者に戻しましょう。例として、デイサービスの高齢者をイメージしてみましょう。

朝起きてからどのように過ごしているのでしょうか? 服を自分で選んで着ている方はとても幸せですね。しかし、出かけることが億劫になったり、物理的に不可能になり、もう何年も服を買っていない。そんな高齢者も多いかと思います。

女性で髪を長くしていた方も、介護が必要になると短くしてしまう方が多いのが現状です。 ゆえに、着の身着のままで来所される方も多くはないでしょうか。

送迎の車の中で、他の人とコミュニケーショを楽しんでいる高齢者はどのくらいいますか?

デイサービスについて、バイタルチェックのあと多くの高齢者がどのように時間を過ごしているでしょうか。おそらく、多くの高齢者がそのまま椅子に座って、ただただ過ごしているのではないでしょうか。

「自分でやりたいことを、やればいい!」

そんな風にも言いたくなってしまいますね。

しかし、「介護施設」に来たということが壁になり、遠慮してしまう方も少なくありません。また、人が老いていくにつれ訪れる、心と身体の変化にも大きく関係しています。

「人が老いる」ということは、毎日何かを失いながら過ごす、ということです。自分で難なくできていたことが少しずつできなくなる。また、とても熱中していた趣味が突然つまらなく感じてしまう。そのほかにもイライラしたり、なにかとネガティブに考えるようになってしまったり・・・とその症状は人によって様々ですが、誰もが「老い」という過程で経験することです。

こうした中で、徐々に身体機能も意欲も低下していきます。

しかし、人間である以上、そうして毎日を過ごすことはとても辛いことなのです。

以前、私の講座でこんなことを仰った方がいました。

「うちは貧乏だったから、おふくろはいつでも働いていた。なんの楽しみもなかったと思う」
本当にそうでしょうか。そのお母様はおそらく、家族のために働いていたと思います。子供たちの成長を生きがいに頑張るパワーに変えていたのではないでしょうか。

介護の現場で、レクリエーションが担う役割

介護の現場で、レクリエーションが担う役割・・・それは、生きがいや意欲を持ち続けて頂くためです。

ゆえに介護の現場では、レクリエーションの時間だけがレクリエーションであってはなりません。私たちの生活と同じように、日々の随所に楽しみや、選択を入れていく必要があるのです。職員や高齢者同士のちょっとしたコミュニケーションも立派なレクリエーションなのです。私たちがそうであるように。

また、私たちにとっては何気ないことでも、高齢者にとっては現存機能を維持するための立派なリハビリにもなります。おしゃべりは嚥下や口腔環境に良い影響をもたらすし、そこから笑顔が生まれれば、脳の活性に繋がります。施設で役割を持つことも良いでしょう。それは、社交性に繋がります。

施設から見たら高齢者はお客様ですが、私たちが旅行先で旅館やホテルで受けるサービスと同じであってはならないのです。

しかしながら、こうしたレクリエーションを生活の随所に取り入れようと言われても、なかなか難しいですよね。実は2014年9月に「レクリエーション介護士」という資格制度がスタートしているのをご存知でしょうか。この資格制度はこうした介護の現場でどのようにレクリエーションを行えばよいのかを、体系的に学べる資格制度なのです。

月ごとの高齢者向けレクリエーション集

【介護現場のレクの悩みあるあるをスパッと解決】
vol.1 介護現場でレクレーションが担う役割
vol.2 介護現場で使える資格「レクリエーション介護士」
vol.3 介護現場のレクだけを担うお仕事
vol.4 介護度の異なる利用者さんに提供するレクってどうしたらいいの?
vol.5 回想レクリエーションのやり方を教えて!
vol.6 レク中に利用者さんが複数で話し始めてしまった時、どうしたらいいの?
vol.7 繰り返し行えるレクが知りたい

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