前回、介護の現場でレクリエーションが担う役割について、お話をしました。今回はそんなレクリエーションをどう提供すればよいのか?悩んだときに、皆さんのお役に立つ「レクリエーション介護士」という資格制度についてお話していきましょう。
レクリエーション介護士とは、BCC株式会社スマイル・プラスカンパニーが運営する、一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会が運営・認定する資格制度です。
2014年9月にスタートしています。
現在、介護系の資格「介護福祉士」などからはどんどんレクリエーションに関する学習時間は削られています。初任者研修にいたっては、完全にカットされました。
しかしながら、現場に入ればコミュニケーションひとつをとっても立派なレクリエーションです。施設によっては、当番制でレクリエーションの担当が回ってくるなんてこともあるかと思います。しかし、介護度も、それまで生きてきた環境も違う複数の高齢者に楽しみを提供するというのは、至難の業です。
レクリエーション介護士は、運営元であるスマイル・プラスカンパニーが関東・関西の介護の現場を直接訪問し、現場の課題を徹底的にヒアリングしてそれを元に作られた資格制度です。現場から吸い上げた課題に対し、介護レクリエーションの専門家が集まり、真剣に解決策を見出し、それを「レクリエーション介護士」という形にしました。
だからこそ、レクリエーション介護士は、現場の皆さんに支持されています。
またレクリエーション介護士には、介護現場が直面する最大の課題、「人員不足」の解決への願いもこめられています。介護現場を回ってヒアリングしているとボランティアの方々の活動の多さに驚かされます。しかしながら、こうしたボランティアの方々の想いとは裏腹に、その存在自体が介護施設からすると迷惑になってしまっているケースも少なくありません。実際に介護の現場で起きた事例を少しご紹介しましょう。
○○介護施設は、あるボランティアさんのレクリエーションを受け入れました。その方のレクリエーションが始まると、何人かの認知症の方が奇声を上げ始めました。中には歩き出す方もいらっしゃいました。レクリエーションが終わり施設の職員がボランティアの方にお礼を言うと、そのボランティアの方は、こう仰いました。
「今日、奇声を上げた方と、歩き出した方は次回から私のレクからはずしてください。」
○○介護施設が、このボランティアさんにお願いすることは二度となかった事は、言うまでもありません。
また、こうした事例もあります。
「カラオケレクが得意です!ギターも使います。」そういってそのボランティアさんは○△施設にいらっしゃいました。いざ、レクリエーションがスタートすると、ボランティアさんは高齢者の皆さんの前に立ち、5曲を1人で歌い、最後にはギターでご自身の作詞作曲した歌を歌われて帰っていかれました。
このボランティアさんに関しても、二度と○△施設さんに呼ばれることがなかったことは言うまでもありません。
さて、この事例をみて、みなさんはどう感じますか?
ただ単に「ボランティアの質が悪い!」と片付けてよいのでしょうか。
そもそも、高齢者施設で行うレクリエーションに道しるべがなかったのです。私はむしろ、こうして関わりを持とうとしてくださる人々がいることをとても嬉しく思います。
今回は「やり方」が誤っていただけで、関わろうとするその気持ちは大変素晴らしいものです。こうした人々が、介護現場での正しいレクリエーションの仕方を学び、業界に関わってくださったらどうでしょうか。レクの時間だけでも地域の様々な人が、施設に関わり交流が生まれます。そして、介護職員たちは本来の「介護」という仕事に専念することができるのではないでしょうか。
レクリエーション介護士はそうした趣味や特技を活かし、高齢者と一緒に楽しみ、笑い合えるレクリエーションの作り方を学ぶことができるのです。
レクリエーションの時間だけでも、外部の方々を巻き込むことで結果的な人員の底上げをする。そうした願いがレクリエーション介護士には込められています。
実際の例をご紹介すると、お母様の介護を終えた主婦の方が「自分もなにかの役に立てないだろうか?」と考えました。しかしながら、介護の資格を取得して就業するとなると、いまひとつ決心できずにいました。そんなときにレクリエーション介護士を取得され、近所の介護施設で陶芸のボランティアとして、活動を始めました。施設の中に入り実際に職員や高齢者の皆さんと関わりを持つことで、彼女はそれが楽しくなり、今では介護職員として就業されています。
こうした事例がもっともっと増えると素敵だとおもいませんか?
レクリエーション介護士は、介護の現場で抱えた課題をレクリエーションの観点から解決するべく様々な仕掛けと共に、送り出された資格制度なのです。
ご興味ある方は、ぜひ一度のぞいてみてくださいね。
一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会
https://www.japan-ac.jp/
>月ごとの高齢者向けレクリエーション集
【介護現場のレクの悩みあるあるをスパッと解決】
vol.1 介護現場でレクレーションが担う役割
vol.2 介護現場で使える資格「レクリエーション介護士」
vol.3 介護現場のレクだけを担うお仕事
vol.4 介護度の異なる利用者さんに提供するレクってどうしたらいいの?
vol.5 回想レクリエーションのやり方を教えて!
vol.6 レク中に利用者さんが複数で話し始めてしまった時、どうしたらいいの?
vol.7 繰り返し行えるレクが知りたい