介護用杖の選び方|月額120円~のレンタル杖・歩行介助のポイントも

使えるハウツー

杖

歩行を助けてくれる頼もしいアイテムである杖は、種類によって特徴が大きく異なるため、杖選びは慎重におこなう必要があります。杖を上手に選択できれば、転倒などのリスクを軽減できるだけでなく、行動範囲が広がったりと生活によりハリがでるでしょう。

「最適な杖の種類は?」
「杖の適正な長さの目安は?」

そうお悩みの方のために、本コラムでは【介護用杖の選び方】【適正な長さ】などを具体的にお伝えします。コラムの後半では、月額120円~という低価格な【杖のレンタル】についてもご紹介します。ぜひ、杖選びのヒントにしてください。

目次

杖は「体の状態」と「使う場所」で選ぶ

杖は主に6種類あり、それぞれ特徴が異なります。どの種類の杖を選択するかは、体の状態と使用する場所によって決まります。

  • 1脚杖(T字杖)|自力歩行できる方に◎

まっすぐの棒に持ち手がついた、一般的な杖。腕力・握力がある方向けで、室内・屋内どちらにも適しており、下記の3つのタイプがあります。

・一本型:長さを調節する場合は杖を切断する必要がありますが、伸縮型や折り畳み型よりも強度があります。自分の杖の適正な長さがわかっている方におすすめです。

・伸縮型:杖の長さを段階的に調節できるため、初めて杖を選ぶ方におすすめです。

・折り畳み型:携帯に便利で、外出先で疲れたときなど限られたシーンで使用したい方におすすめです。

  • 多点杖|1脚杖では不安な方に◎介護保険適応

杖の先端が3~4股にわかれている杖。先端の広がり方が大きいタイプと小さいタイプがあり、1脚杖ではバランスをとりにくい方向けの杖です。屋内などの平らな場所では安定性に長けている杖ですが、坂道など傾斜がある場所や凹凸がある場所には不向きで、使う場所を選ぶ杖です。

  • ロフストランドクラッチ|腕や手の筋力が弱っている方に◎介護保険適応

腕を通すカフ(環)がついている杖。握力や腕力が弱っている方でも使用できます。屋内・屋外どちらも適しています。

  • プラットホームクラッチ|杖を握りにくい方に◎介護保険適応

サポート台に前腕をのせて使う杖。関節炎や手指の変形など、杖を握りにくい方でも使用できます。手首への負担も少なく、屋内・屋外どちらも適しています。

  • サイドウォーカー|室内での歩行や立ち上がりの補助に◎介護保険適応

タイヤの付いていない歩行器のような形をした杖。他の杖と比べて大きさも重さもありますが、しっかりと体重を支えることができるため、まひのある方にもおすすめです。ただし、4点で支える杖のため、屋内など平らな場所での使用が適しています。

【大きさの例】幅40cm~・奥行32cm~・高さ74cm~、重さ:1.5kg~
※折り畳みタイプもあります

  • 松葉杖|下半身まひの方やリハビリ用に◎介護保険適応

足に体重をかけられない方が使う、脇あてが付いた杖。骨折のリハビリに使われることが多く、握力や腕力が十分にある方向けです。脇と手でしっかりと体重を支えることができるため、足腰に負担をかけずに使用できます。2本使用すれば、上半身で体重の大部分を支えることが可能です。屋内・屋外どちらにも適しています。

このように、体の状態や使用する場所により、最適な杖は異なります。複数の種類の杖を、使用する状況や場所によって使いわけるのもよいでしょう。

ただし、杖はあくまで自力歩行の補助やリハビリを目的として使用するものです。とくに1脚杖など棒状の杖は、バランスを崩すと転倒する恐れが非常に高く、危険です。杖がないと自力歩行できない方や介護者がいないと自力歩行できない方には適していないため、十分ご注意ください。

杖は軽さ、強度も重要

杖を使う高齢者

杖は素材により重さや耐久性がことなります。軽いものは扱いやすく持ち運びも簡単でメリットが大きいように感じますが、耐久性・耐荷重が低いものは安心して使用できません。軽さを重要視するのもよいですが、強度もしっかりと確認して選ぶことが大切です。※杖の重さは、200~500gを目安にするとよいでしょう。

主な素材の特徴をご紹介します。

  • 木製

自然素材ならではの、あたたかみのある質感が魅力。手になじみやすく、使い込むほどに味わいが増します。商品によって価格はさまざま。

  • アルミ製

杖の一般的な素材で、軽くて扱いやすく価格もリーズナブル。サビに強く、加工・塗装しやすい性質のため、豊富なデザインの商品があります。

  • カーボンファイバー(炭素繊維強化プラスチック)製

アルミ製と比べて、軽量で強度も高く、価格もやや高め。加工が難しいため長さ調節や修理は困難で、専門業者へ依頼する必要があります。

杖は適正な長さで使おう

杖は適切な長さのものを使用しなければ、正しい姿勢で歩行することができず、体に悪影響がでる恐れがあります。杖の長さは、腰が曲がっているかどうかで、長さの目安が異なります。

【腰が曲がっていない方】

杖の長さの目安=(身長cm÷2)+3cm
※靴をはいた状態の身長

身長が150cmの方であれば杖の長さは78cm前後が目安となります。ただし、手の長さや腰の高さには個人差があるため、店頭などで実際に杖を試して使用感を確認してから長さを決定することをおすすめします。通販など購入前に試すことができない場合は、段階的に長さを調節できる伸縮型の杖を選ぶと安心です。

杖の長さをみるときは、杖の先端を【足の小指から外に15~20cm、そこから前に15~20cmほどの位置】に置き、ひじの角度が30~40度になる姿勢でおこなうようにしましょう。前かがみになるほど短い杖は転倒のリスクが高くなるため、長さを確認しなおしましょう。

【腰が曲がっている方】

腰が曲がっている方は、無理のない範囲で背筋をのばし、曲げやすい角度にひじを曲げます。その状態での手から地面までの距離が、杖の長さの基準となります。長さを決めるときは、本人が負担なく使える長さとなるように調整しましょう。

杖はレンタルできる!介護保険適応なら月額120円~

電卓を持つ女性

「どの杖を選ぶか迷っていて、いろいろな杖を試してみたい」
「体の状態や使う環境が変化したときなど、そのときに最適な杖を選びたい」
「一時的に使うだけだから、購入は気が進まない」

そのような方は、杖のレンタルサービスを利用するのもひとつの方法です。

大手福祉用品レンタルサイトでは月額1,200~1,600円程度で、本コラムで紹介した主な杖をレンタルできます。介護保険を利用した場合、月額120~320円程度(1~2割負担の場合)の低価格でレンタルすることも可能です。

また、レンタルの場合、修理・交換・メンテナンスもサービスに含まれている場合が多く、レンタル会社にお任せでOK。体の状態や住環境が変化した場合など、そのときの状況に合わせた杖をレンタルできるというメリットもあります。レンタル会社によっては、福祉用具専門スタッフが製品選びの相談にのってくれるサービスもあり、実際に使用感がよければ購入することもできます。

さまざまな杖を試したい方や一時的に杖を使いたい方、そのときの状況に応じた杖を使いたい方は、ぜひ杖のレンタルを検討してみましょう。

介護者ができる歩行介助

続いては、歩行介助の方法とポイントについてご紹介します。

1.   歩行介助の方法

【被介護者が自力歩行できない場合の歩行介助】

杖を使用する方(被介護者)の体を支えるときは真横ではなく少し後方に立ち、杖を持っていない側の脇に手をまわして、ひじと体を支えます。強い力で体を押さえるのではなく、自然に支えてあげましょう。被介護者が踏み出す足に合わせて介護者も同じ足を踏み出し、被介護者の体重移動に合わせて優しく体を揺らしてあげると歩行しやすくなります。

あくまで介護者はサポート役。歩行をリードせず、被介護者に歩調や歩幅を合わせることを心がけましょう。

【被介護者が自力歩行できる場合の歩行介助】

介護者は「被介護者が杖を持たない側」もしくは「まひなどの症状がみられる側」の斜め後方から見守ります。被介護者から目を離さず、転倒などバランスを崩した際にすぐに介助に入れる位置を常にキープしましょう(見守り歩行介助)。

高齢者を対象とした歩行介助に関する詳しいコラムはこちらからご覧いただけます。

2.   歩行介助のポイント

歩行介助は体を支えたり歩調を合わせたりといったことだけでなく、被介護者が使用する杖や靴、ズボンなどの着衣にも気を配らなければなりません。

  • 被介護者の靴や着衣は適正サイズか

脱ぎ着しやすいからといって大きすぎる靴やズボンを身につけていると、歩行中に靴が脱げてしまったり着衣が脚にまとわりついて歩行の妨げになり、転倒の恐れがあります。ささいな障害物も転倒の危険があるため、室内は整理整頓しコードなど足をとられやすいものはとくに注意しましょう。

  • 杖は劣化していないか

杖の点検は、先端のゴムに摩耗やひび割れはないか、杖本体にガタつきはないかなどを確認します。体重をかける杖が劣化していると、安全な歩行はできません。「杖先のゴムが少し割れているくらい平気だろう」と油断せず、メンテナンスはしっかりとおこないましょう。

  • 杖を正しく使えているか

歩行介助のときは、杖の握り方だけでなく被介護者が杖を正しく使えているかもチェックします。杖に過剰にもたれてかかっていたり、杖をななめについていたりすると転倒や手を痛める恐れがあります。杖を地面にまっすぐおろして使用できているか確認しましょう。
被介護者が歩きにくそうにしている場合は、杖をおろす位置が体の前方すぎる場合も。杖の先端をおろす位置は【足の小指から外に15~20cm、そこから前に15~20cmの位置】です。

また、歩行時の目線も大切です。歩行時は足元ばかりを見るのではなく、被介護者が前を見て歩行できているかどうかも確認しましょう。

最適な杖を正しく使おう

杖を持つ高齢者

杖は体の状態や使うシーンによって、選択する種類が決まります。しかし適切な杖を選択できたとしても、長さや使い方をまちがえたりメンテナンスを怠ったりすれば、安心・安全な歩行はできません。

ぜひ本コラムの内容を意識して、生活をより豊かにしてくれる最適な杖を見つけてください。もしも杖選びや使い方に不明点がでたときは、医師や理学療法士、介護士などに相談するようにしましょう。

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