危険!高齢者に多いヒートショック|原因と具体策

使えるハウツー

浴室で人が倒れている図
冬になると「ヒートショック」という言葉をよく耳にするようになります。ヒートショックは65歳以上の高齢者に起こりやすく、浴室で多発します。
実際に令和元年度に浴槽で死亡した人は4,900人(※)と、交通事故による死亡者数よりも多く、とくに12月から2月にかけて増加します。

「ヒートショックの原因は?」
「どうすればヒートショックを防ぐことができるの?」
「家族がヒートショックを起こしたときはどうすればいいの?」

ここでは、ヒートショックの原因とその具体策について詳しくお伝えします。あなたやご家族の命を守るためにも、ぜひご一読ください。

※参照元:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!|消費者庁

高齢者はリスク大!ヒートショックとは

ヒートショックとは、大きな気温の変化が原因で血圧が急激に上下し、体が順応できずにダメージを負うことをいいます。血圧のコントロール機能は加齢により低下するため、高齢者はとくに注意が必要です。

具体的な症状は、軽度であればめまいやたちくらみ、重度であれば失神などの意識障害や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こします。入浴中に意識を失えば溺死、心筋梗塞や脳梗塞もすみやかに処置しなければ命を落とします。

浴室やトイレはヒートショックに要注意

ヒートショックは冬場に多くみられ、部屋ごとの大きな寒暖差により引き起こされます。その代表的な場所が浴室や脱衣所、トイレであり、とくに注意が必要です。これらの場所は日中過ごすリビングなどの部屋に比べて気温が極めて低い傾向があります。

例えば、入浴のために暖房の効いた部屋から寒い脱衣所に移動したとき、体温を保つために血管は収縮し、血圧が上昇します。裸で浴室に入るとは、寒さによりさらに血圧は上昇。その後、熱いお湯につかることで血管が拡張し、血圧が急激に低下します。このような激しい血圧の変化が、ヒートショックを引き起こします。
また、トイレは気温差が大きくなりやすい場所であると同時に、排便時のいきみにより血圧が上がるため、ヒートショックが起こりやすい場所です。

ヒートショックを起こしやすい方

お風呂の設定温度
ヒートショックを起こしやすいといわれているのは以下のような方です。注意喚起のためにも、ご自身やご家族に当てはまるものがないか、ぜひチェックしてみてください。

65歳以上の高齢者

高齢の方は血圧をコントロールする機能が低下しているため、これまで何も問題がなかったとしても注意が必要です。また、高齢になるにつれて暑さや寒さを感じにくくなるため、本人が気づかないうちに状況が悪化する可能性もあります。

持病がある方(糖尿病、高血圧、不整脈など)

持病により動脈硬化が進行している場合、血圧の乱高下に耐えられずに心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクがあります。

長時間お湯につかる方(10分以上)

42度のお湯に10分間つかると体温は38度程度まで上昇し、のぼせてしまい意識障害を引き起こしかねません。40度以下の湯温で、長くとも10分未満の入浴としましょう。

お湯の温度を高く設定している方(41度以上)

41度以上のお湯につかることは心臓の負担になるといわれているため、湯温は40度までにとどめておきましょう。また、お湯につかる前にかけ湯をしたり、足先から徐々につかったりして、体を慣れさせてから入浴しましょう。

飲酒後や食後に入浴する方

飲酒後や食後は血圧が下がる傾向にあります。食後すぐの入浴は避け、1時間以上は時間をあけるとよいでしょう。飲酒後は、アルコールが抜けるまでは入浴を控えましょう。また、体調不良時や服薬時も注意が必要です。

浴室や脱衣所に暖房設備がない方

寒い浴室や脱衣所では体温を保とうと血圧が上昇しているため、その状態で熱いお湯につかると血圧が急激に下がり、ヒートショックを起こす危険があります。

ヒートショックを防ぐための具体策

ここからはヒートショックを防ぐための対策をご紹介します。上記で述べたヒートショックを起こしやすい方だけではなく、高齢でない方や持病がない方も、体への負担を減らすために以下の対策をとることをおすすめします。

入浴時の対策

入浴前に浴室や脱衣所を暖める。

浴室乾燥機の暖房機能を使って、浴室や脱衣所を暖めておきましょう。暖房設備がない場合は、「シャワーから給湯する」「浴槽のふたを外しておく」などの工夫をすると良いでしょう。その際は、脱衣所も暖まるように浴室のドアを開放しておきましょう。

お湯の温度は40度以下に設定する。

41度以上のお湯につかることは心臓の負担になります。湯温は40度以下に設定し、お湯につかる際はかけ湯を十分におこなうなど、すぐに全身をつけないようにしましょう。

お湯につかる時間は10分未満にする。

熱いお湯に長くつかると意識障害を起こす可能性があります。また、熱いお湯に首までしっかりつかることも心臓の負担になります。浴槽から出るときも、急に立ち上がることは避けましょう。

入浴中は家族がこまめに声掛けをする。

「なかなかお風呂から出てこないと思っていたら、浴室で倒れていた」という事故は少なくありません。高齢の方が入浴する際は、家族が5分ごとに声掛けをするなどして様子を確認するとよいでしょう。

トイレの対策

トイレに暖房器具を設置する。

小型の暖房器具を設置したり、温水洗浄便座の暖房機能を使用しましょう。暖房器具は壁掛け型やパネル型、照明型など多種多様な製品があります。設置を検討してみてはいかがでしょうか。

いきみすぎない。

血圧の上昇を防ぐため、排便時のいきみすぎに注意しましょう。また、強くいきむと肛門が締まって便が出にくくなるうえに、肛門に負担がかかります。肛門の力を抜き、背中を丸めた姿勢をとると、いきまず排便できます。

防寒着を身に着ける。

トイレに行くときは、裸足や薄着の状態はさけ、厚手の靴下やスリッパを履いたり、上着をはおったりして寒さをやわらげましょう。

もしもヒートショックで倒れたら。すぐに119番通報を!

救急車
「家族が浴室で倒れた」「銭湯で利用者が倒れた」そのような場合、私たちにできることは何でしょうか。以下の手順を参考にしてください。

  1. 要救助者が浴槽の中で意識を失っている場合は、浴槽から出し、要救助者を水中から救出する。引きずり出すことが困難な場合は、お湯を抜く。もしくは、溺れることを防ぐために体が沈みこまないようにする。
    救出後は要救助者の体温が低下しないよう、毛布をかけるなどする(熱中症の場合を除く)。
  2. 119番通報し、救急車を要請する。
  3. 声掛けをしたり体をたたいたりして、反応や呼吸の有無を確認する。
  4. 反応や呼吸がない場合、心臓マッサージをする。

上記の手順を覚えていなくても心配はいりません。最も重要なことは、すみやかに119番通報をすることです。通報後は救急隊員の指示に従って対処しましょう。

日頃からの対策でヒートショックを防ぎましょう

ストールを首に巻いている高齢者
ヒートショックの原因やその具体策についてご紹介しました。

ヒートショックは大きな気温差が引き金となります。ヒートショックが起こりやすい気温が低い部屋(場所)はもちろん、家全体を暖めて部屋ごとの寒暖差を少なくすることが最も効果的といえるでしょう。また、10度以上の気温差はヒートショックの危険性があるといわれているため、冬場にベランダや庭先などわずかな時間でも外に出る場合、防寒対策をとるようにしましょう。

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