ノーマライゼーションの視点を取り入れた介護とは?

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笑顔の高齢者と家族と介護士

「ノーマライゼーション」とは、「障がいをもつ人の生活が、障がいのない人の生活と同等であることを保障し、共に生きることを目指す」という社会福祉理念です。理想とするのは、障がいの有無にかかわらず、普通の人々が日々当たり前に送っている生活を誰もが享受できる社会。

ノーマライゼーションは高齢者介護においても、とても重要視されている考え方です。横文字で難しい印象がありますが、介護の入門資格である「介護職員初任者研修」のなかではレポートの課題として出てくることも。

レポートで自分の意見を述べるには、語句の意味をしっかり理解して自分のものにしておくことが大切です。ぜひこのコラムで、ノーマライゼーションについての理解を深めてくださいね。

ノーマライゼーションを分かりやすく

高齢者に寄り添う介護士の手元

ノーマライゼーションを分かりやすく言うと「障がいのある人もない人もバリアをつくることなく、同じように普通の生活を送れるようにする」とも言い換えられます。「普通の生活」がぼんやりとして捉えにくい場合は、1日単位、1年単位、もっと長いスパン等、期間で分けてとらえてみると分かりやすいでしょう。

まず1日単位では、朝起きたら着替えて朝ご飯を食べ、歯磨きをして学校や仕事に出かけたり、夜はお風呂に入って眠る、といった日常のサイクルがあります。障がいを持たない多くの人はそれを普通に繰り返していますね。

また1年単位では、誕生日や記念日を祝ったり、休暇に遊びに出かけたり、季節の行事や伝統食を楽しむといったことも普通に行われています。

もっと長いスパンでは、学校へ行って学んだり、自分にできる仕事をしてお金を稼いだり、異性と恋愛をして結婚したり家庭をつくることもあります。

これら一般社会で広く行われている生活を「普通の生活」と捉え、障がいの有無にかかわらず誰もが享受できるよう努めていくのがノーマライゼーションの考え方です。

ノーマライゼーションの始まり

過去には、障がいのある人が差別や偏見を受けたり、施設に隔離されるなど自由を制限された生活を送っていた時代がありました。1950年代にデンマークの知的障がい児の親の会が、それらを不当として改善運動を行ったとき、社会運動家の「バンク・ミケルセン」が法律化したのがノーマライゼーションの始まりです。

その後スウェーデン知的障害児者連盟の「ニィリエ(ニルジェ)」が、「1日のノーマルなリズム」「1週間のノーマルなリズム」「1年間のノーマルなリズム」「ライフサイクルでのノーマルな経験」「ノーマルな要求の尊重」「異性との生活」「ノーマルな生活水準」「ノーマルな環境水準」という8つの原理にまとめ、「社会の主流にある人々の標準や様式に可能な限り近づけること」としました。

このときニィリエ達が考えていたのは知的障がい者の権利についてでしたが、ノーマライゼーションの理念はすべての障がい者福祉に通じるものだったため、のちに普遍化され、現在の社会福祉施策の根底をなす重要理念になっています。

提唱者であるバンク・ミケルセンやニィリエの名前は介護福祉士試験にも出たことがあるほど。分野を問わず、福祉に関わる人なら必ず知っておきたい、とても重要な考え方なのです。

ノーマライゼーションの視点を介護に取り入れると

青空の下散歩する介護士と車いすのお年寄り

ノーマライゼーションの理念を高齢者介護に当てはめてみると、「障がいや病気を抱えた高齢者も、そうでない人と同じように普通の生活を送れるよう環境を整えていく」ことになります。

たとえば、朝起きたらパジャマから着替えてベッドから出ること。洗顔や歯磨きをして身ぎれいに保つこと。食事を楽しみ、季節の移り変わりを楽しむこと。誰かに指示や強制されるのではなく、自由に過ごせる自分の時間があること・・・。

もちろん、障がいを持っていない普通の人も、社会生活を営むうえでは周囲に合わせて何かをガマンすることがありますね。施設介護でも在宅介護でも、ケアする人のキャパシティーなどさまざまな事情により、すべて高齢者の望むままにするのは難しいこともあるでしょう。しかし高齢者に、当たり前のようにガマンを強いていないかは気をつけておく必要があります。

高齢者介護に関わる人たちが「こっちの方が効率的だから」「ラクだから」と、画一的なケアを押しつけることがないよう常に心がけていく。「これって普通のことかな」「違うやり方はできないかな」と少し立ち止まって考える。それによって、体が弱って気持ちが落ち込みがちな高齢者も、自分らしく笑顔でいられる時間が増えていくのではないでしょうか。

ノーマライゼーションはみんなのもの

ノーマライゼーションの考え方は、「誰もが普通の生活を営む権利がある」というごく当たり前の主張であり、決して難しいことを言っているわけではありません。視力の悪い人がメガネを使うことも、赤ちゃん連れの人がベビーカーを押していることも、ノーマライゼーションの一面です。

「認知症の人も閉じこもることなく、出かけていける」「車いすでも不安なく外出できる」さまざまな事情を抱えた人が、当たり前に社会になじんでいる・・・そんな分け隔てのない風景を、ぜひ近いうちに実現していきたいですね。

介護職員初任者研修 レポート作成のコツ

ポイントを示す女性介護士

レポート作成の課題はスクールによってさまざまですが、指定されたテーマで200字~500字程度でまとめることが多いようです。原稿用紙半分~1枚以上のボリュームは、普段文章を書き慣れない人にとってはハードルが高く感じるかもしれません。

「ノーマライゼーションについて説明しなさい」といった課題であれば、テキストからの抜き出しでOKなので気が楽ですね。ただし「ノーマライゼーションというキーワードを用いて・・・について述べよ」といった課題では、自分の考えを入れていく必要があります。

この場合まず前半で、ノーマライゼーションとはどういった考え方なのかを説明する文章を入れましょう。それがないと採点者は、レポート作成者がノーマライゼーションの考え方を理解しているのかどうか判断できません。

ボリュームが必要な場合は、テキストに書いてある定義に加え、ノーマライゼーションがなぜ重要なのかということや、思いつくメリットについても具体的に盛り込んでみると良いですね。

そのうえで後半は、自分が介護サービスを行う場合にはどういったことに気をつけていくかをまとめると良いでしょう。その際「こんな介護がしたい」だけでなく「なぜなら・・・だから」「その理由は・・・」「たとえば・・・のような」といった文章を差し込んでみてください。文章に厚みと説得力が生まれます。

【例】ノーマライゼーションの視点を取り入れた介護について述べよ

「高齢者介護におけるノーマライゼーションとは、・・・・・・・・・する考え方のことである。この理念が目指すのは、・・・・・・・・・・な社会である。

私が高齢者介護に携わる際には、・・・・・・・・・・・・したいと考えている。その理由は、・・・・・・・・・・・・・と思うからである。・・・・・・・・・・・・する視点が大切なのではないだろうか」

「どう書き始めていいか分からない」という方は、文章の組立ての一例として参考にしてみてくださいね。自分の考えが求められる部分は、自分が実際に介護施設で働いているところを想像してみると書きやすいかもしれません。

課題は取り組むことに意義があるので、あまり難しく考えすぎないことも大切です。きれいにまとめることができなくても、期限内に提出だけはしていきましょう。講師に添削を入れてもらうことによって、最終的にはしっかりとしたレポートが完成するはずですよ。

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