【介護職の健康管理】心と体の健康を守る10のアイデア

介護職の保健室

リラックスする女性介護士

介護職は体力も気力も使うお仕事。さらにここ数年は、感染症対策へのプレッシャーも重くのしかかるようになりました。日々酷使している介護職の体は、いたわりと適切なケアが必要不可欠です。

そこでこのコラムでは、介護職に多い体調不良にスポットを当て、その予防に効果的な健康管理法をお伝えしていきます。仕事内容は同じでも、ちょっとしたコツや心がけで、意外に負担は軽くできるもの。疲れやストレスは上手に手放して、元気な笑顔で仕事に取り組んでいきましょう。

介護職に多い体調不良は?

体調不良の女性

介護職といえば、「腰痛」が多いイメージではないでしょうか。実際に厚生労働省の調査結果をみると、令和3年に報告された保健衛生業での腰痛は2,066件で、全業種中TOP。さらに、猛威を振るった新型コロナウイルスへの罹患件数は12,032件でこちらもTOPに。

どちらも他の職種に比べてかなり多い数字となっており、介護や看護に携わる人の腰痛リスク、感染症リスクの高さがうかがえます。

もちろん介護職の皆さんは、普段から腰痛や感染症対策をしていることでしょう。しかし油断は禁物。これからも気を抜かずにアンテナを立てて情報を集め、対策をアップデートしていきましょう。これからお伝えする方法で取り入れられそうなものがあれば、ぜひ試してみてくださいね。

「令和3年業務上疾病発生状況等調査(令和3年)」厚生労働省ホームページ

腰痛予防の4つのアイデア

腰を痛めた女性

介護職が腰痛を発症する主な原因は、利用者様の身体介助で腰への負担が蓄積すること。さらにオムツ交換やリネン交換の際に前屈みの姿勢になったり、食事介助のときに横から腰をひねった状態で介助することなども、腰に負担をかける原因です。

まずは腰痛にならないよう、正しい介助方法をしっかりと身につけましょう。ボディメカニクス(力学、解剖学、生理学的な知識を活用した介助方法)の活用は、すでに取り入れている方が多いのではないでしょうか。小さな力で要介護者を動かせるので、職員の負担が軽くなります。これを基本としつつ、その他の方法もプラスしていきましょう。

1.できるだけ要介護者自身に動いてもらう

「○○しますね、ヨイショ」と、こちらのタイミングで相手を動かすのではなく、「○○していただけますか」と、要介護者自身に動いてもらうように声かけをし、介助者は必要なサポートのみにとどめます。力が必要な動作をできるだけ少なくすることで、体力的な負担が軽くなります。

2.スライドボードやリフトなどの用具/機器を利用する

移乗支援機器などの福祉用品が利用できるなら、「自分の力でやった方が早い」と思わずに、ぜひ使い方を教わり積極的に活用を。慣れれば早く使えるようになり、自分も相手もラクで快適になります。

3.フィットしたクッション性のある靴を履く

立ち仕事で施設中を歩き回る介護職にとって、靴はとても重要なアイテム。足に合っていない靴や、衝撃吸収性のない靴は、歩く度に体が揺れて腰に負担がかかります。脱ぎ履きのしやすさだけで選んでいる人はぜひ見直してみてください。夕方以降の疲れ方に違いが出てきます。

選ぶときのポイントは、フィット感と衝撃吸収性。マジックテープなどでフィットでき、かかとを固定できること、またクッション性があること。介護職向け作業靴やナースシューズのジャンルから選ぶのがおすすめです。

4.腰痛体操などのセルフケアを取り入れる

毎日の習慣に、硬くこわばった筋肉をほぐすストレッチを取り入れましょう。朝の起床時、仕事に入る前、休憩時間、仕事の後、お風呂のとき、夜の就寝時。取り入れやすいタイミングで、首、肩、腕、腰、足、足の裏をよくほぐします。丸めたタオルやテニスボールなどの上に凝っている部位を乗せ、自重を使ってほぐすと一人でもラクにほぐせます。

「忙しい時にはいちいち腰の負担なんて考えていられない」という声もあるでしょう。しかし「自分がムリをすればいい」と考えていると、介護職の職場環境はいつまで経っても良くなりません。体を壊す介護職が増えれば、結局はお年寄りにしわ寄せがいくことに。紹介した方法を参考に、「どうしたらムリのない介護ができるか」考えてみてくださいね。

メンタル不調を予防する3つのアイデア

おしゃべりに興じる女性たち

人の命を預かるプレッシャーや複雑な人間関係は、介護職のメンタルに負担をかけます。鬱や燃え尽き症候群といったトラブルを回避するために、日頃から意識してメンタルヘルスケアにも取り組んでいきましょう。ストレスをため込まないためにできることをご紹介します。

5.周囲に話を聞いてもらう

「納得いかないこと」「イライラしたこと」「腹が立ったこと」・・・ストレスを感じることがあったら、黙ってガマンするのではなく、ぜひ誰かに聞いてもらいましょう。上司や同僚、事業所のメンタルヘルスケア窓口などがおすすめです。話を聞いてもらうだけで心が軽くなりますし、業務上で改善できる何かが見つかるかもしれません。

悩みを相談する相手がいないという人は、厚生労働省委託事業として一般社団法人日本産業カウンセラー協会が開設している「こころの耳」ホームページに相談窓口があります。電話やメール、SNSなどで気軽に相談できるので、職場ではどうしても言いづらい場合などに利用してみるのもいいですね。

相談窓口案内「こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)」

6.夢中になれる趣味を持つ

仕事とは別に、プライベートで楽しめる趣味を持っておきましょう。夢中になれる趣味は、オフに気持ちを切り替えることに役立ちます。

7.完璧主義をやめ、最善主義におきかえる

介護は人がやることなのですから、100%完璧にすることはできません。できないことをやろうとすればムリが生じます。完璧主義は捨てて、最善主義におきかえてみましょう。失敗した現実は現実としてうけとめ、そこから「さてどうしようかな?」と最善策を考えるのが最善主義。自分やほかの職員を責める気持ちに気付いたら、ぜひ最善主義を思い出してくださいね。

食べることやアルコールでストレスを発散するのもよくある方法ですが、逆に体調を崩しがちなのでおすすめできません。さらにストレスがたまっていく悪循環に入ることもあるので、それらの代わりに上に挙げた方法を試してみてください。

こちらのコラムも参考に ≫「介護職のストレスを解消する7つのアプローチ」

免疫力を高める食事・睡眠・入浴のコツ

バランスの取れた食事

なかなか収まる気配のない新型コロナウイルス。ワクチン接種以外にできることはないのでしょうか?一般的には、睡眠時間の確保、運動、禁煙、肥満や低体重を避けること、バランスの良い食事を摂ることなども有利に働くと考えられています。こうした生活は生活習慣病も予防できるなどいいこと尽くめですから、ぜひできることを取り入れていきましょう。

8.食事のコツ

免疫細胞や免疫物質は、おもにタンパク質からできています。不足すると免疫力が低下するため、肉・魚・卵・大豆・乳製品等のタンパク質をしっかり摂りましょう。菓子パンや甘いもの、おにぎりや麺類など炭水化物だけでおなかをいっぱいにしないように気を付けてくださいね。

またビタミンA、ビタミンC、ビタミンEも大切。緑黄色野菜や果物、ナッツなどをバランスよく食べて。さらに免疫細胞の6~7割が集まる腸の環境を良好に保つため、ヨーグルトや納豆、漬物などの発酵食品も取り入れるとよいでしょう。

9.睡眠のコツ

睡眠不足は免疫力を下げてしまいます。夜勤などの事情から、睡眠時間をたっぷりとるのは難しいこともありますが、できる範囲で質の良い睡眠を確保していきましょう。

睡眠の質を上げるキーワードは「安心感」。心配ごとを考えると睡眠の質が下がります。「安心して」眠りにつくために、ベッドに入ったら仕事のことは頭から追い払って。お気に入りのアロマを焚いたり、布団の上でゆっくりストレッチをするなどの方法もおすすめです。

10.入浴のコツ

体が冷えると免疫力が下がることが分かっています。入浴は絶好の温活タイム。シャワーで済ますときは少し熱めの温度でしっかり体を温めましょう。シャワーの間、湯おけにお湯を張り、座って足を入れておくのも効果的。

血行が促進されれば、腰痛などにつながる筋肉疲労も軽減できます。もちろん時間があるときは湯船に浸かることで、浮力によるリラックス効果、水圧によるむくみ解消効果も得られます。

新型コロナワクチンQ&A「免疫力はワクチン以外でも上げられますか」(厚生労働省)

健康管理で自分と周囲を幸せに

利用者と談笑する女性介護士

仕事を楽しみ、前向きに取り組むためには、自分の心と体が元気であることが欠かせません。とくに人と関わる介護職という仕事では、自分に余裕がないとそれが相手にも伝わってしまいます。もちろん逆もしかり。あなたが笑顔で元気いっぱいならそれが周りの人に伝染し、みんなを幸せにしてくれます。自分と周囲を幸せにする介護職の健康管理、ぜひ気になったものから気軽に試してくださいね。

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