介護ストレスを抱え込まないで。家族のための負担軽減法

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リビングで悩む夫婦要介護者が住み慣れた家で暮らし続けるためには、家族の助けが必要です。しかし家族にもそれぞれ自分の生活があるので、負担が積み重なるとやがて大きなストレスとなってのしかかってくることに・・・。

過度なストレスは、介護者の心身の不調を招くだけでなく、家庭の崩壊や虐待などの不幸につながることもあります。このコラムでは、家族の介護ストレスを軽減するためのヒントをご紹介していきます。公共サービスや周囲の助けを上手に借りながら、介護ストレスをためないようにしていきましょう。

家族の介護ストレスの原因

落ち込み悩む女性

孤立感

「自分一人が介護をしている」と感じることは、ストレスの大きな原因。家族のなかでも主に介護に携わるキーパーソンになると、要介護高齢者に何かと頼られ甘えられたり、嫌なことがあればその感情をぶつけられることもあります。役所や施設からの連絡窓口にもなるので、何かあればその都度対応や決断を迫られることも。

家族に相談しても、「一番分かっているのはあなただから」「助けを求めてくれれば手伝うから」と一歩引いたスタンスをとられると、「誰にも相談できない」「自分がやらなくてはならない」と追い詰められてしまいます。

プレッシャー

病気を抱えている高齢者や体が弱っている高齢者は、ちょっとしたことがきっかけで大きく体調を崩すことがあります。「薬をしっかり飲まさなくては」「栄養をしっかり摂ってもらわなくては」などの思いは、介護者に大きなプレッシャーとなってのしかかります。「完璧にしなくてはならない」と思い込むと、小さなミスでもクヨクヨしてしまうなど、ストレスを感じやすい状態に。

またせっかく介護を頑張っても本人が受け入れてくれなかったり、期待した反応ではなかったりすると、介護者は「どうして分かってくれないの」とイライラしたり、「自分のやっていることがムダだった」と無力感に襲われてしまい、大きなストレスを抱え込んでしまうのです。

寝不足

「夜中に何度もトイレ介助で起こされる」「認知症による徘徊が心配で深く眠れない」など、睡眠に関わる悩みも大きな問題です。慢性的な寝不足では疲労が回復できないだけでなく、ストレスを感じやすくなりメンタルヘルス不調のリスクも高まります。

肉体的な負担

介護にはトイレ介助やオムツ交換、車いすへの移乗介助など、体力を使う場面がたくさんあります。要介護者の家族はプロの介護士ではないので、体の上手な使い方が分かりません。力任せの介護では腰痛が出るなど体を壊してしまうことも。日常的に体に痛みを感じていると、大きなストレスとなってしまいます。

経済的な負担

介護サービスを受けるための費用は介護を受ける本人が出すのが基本ですが、年金暮らし等で足りないとその分を子世帯が負担することもあります。また家族の介護をするために仕事を辞めたり減らしたりして自分の収入が減ってしまうことも。こうした経済的な負担もストレス要因になっていきます。

認知症ケアのストレス

認知症ケアでは、短期記憶が抜け落ちることで同じことを何度も尋ねられたり、もの盗られ妄想や暴言など、介護者にとって非常に強いストレスになることがあります。また夜もよく眠れないことが多く、メンタルヘルスを損ないがちです。

ストレスが溜まるとどうなる?

頭痛に悩む女性

ストレスを「それくらいガマンすればいい」と甘く見ていませんか?ストレスの程度が重くなると、イライラや気分の落ち込みといった心理的な症状の他にも、下記のような症状が出てきます。

【身体的ストレス反応】

めまい、体のふしぶしの痛み、頭痛、首や肩のこり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲がなくなる、便秘や下痢、不眠など

【行動的ストレス反応】

飲酒量や喫煙量の増加、うっかりミスの増加、カッとして乱暴な言動をとることが増えるなど

これらはストレスが限界を超えてしまっているサイン。ガマンし続ければうつ病や胃潰瘍などの病気に発展したり、ガマンしていたものが爆発して、要介護者を虐待してしまうこともあります。ストレスは決して甘く見ず、気付いたら早めにケアしていかなくてはなりません。

介護ストレスを軽くする方法

職場で明るい笑顔の女性

介護負担を一人に集中させない

兄弟が複数いるなら、曜日ごとに担当を決めるなどして、負担が一人に集中しないようにします。遠くに住んでいてなかなか訪問できないなら、その分お金を出すなどの代替策をとってもらいましょう。

一人っ子でどうしても負担が集中せざるを得ない場合でも、本人の友人関係や担当ケアマネジャー、介護家族の会など、相談できる人や場を持って一人で抱え込まないように。悩みを誰かと共有するだけでも、ずいぶんストレスを軽くすることができます。

仕事は辞めない

突然親が倒れて、自分が面倒を見なくてはいけなくなった・・・そんなとき、今までしていた仕事を慌てて辞めてしまう人がいますが、ちょっと待ってください。

職場は社会のなかでの、自分の大切な居場所です。仕事を続けていれば介護から離れる時間ができて精神状態が安定しますし、定期的に収入があることも安心材料。職場の人と介護についての情報交換をしたり悩みを相談できることも、大いにストレスケアに役立ちます。

休職や時短勤務など、介護離職を防ぐ方法はいくつかあります。まずは職場に相談して理解・協力を求め、辞めない方法を探っていきましょう。

レスパイトケアを利用する

要介護者とひとつ屋根の下で暮らしていると、いつ何が起こるかと常に気を張っていなくてはなりません。その点、デイサービスやショートステイなどで要介護者が出かけてくれると、ほっと一息つくことができますね。介護する人が休息を取るためのケアを「レスパイトケア」と言い、必要性がちゃんと認められています。

介護ストレスが溜まっている自覚があるなら、レスパイトケアについてぜひケアマネジャーに相談してみてください。要介護者と離れてみることで、またリフレッシュして新たな気持ちで向き合えることもあります。「怠けていると思われるのでは」などと心配せず、胸を張ってしっかり休んでくださいね。

認知症の対応法を学んでみる

ケアする人の精神的負担が大きい認知症介護。認知症の人とのコミュニケーション法には、相手の視界にしっかり入ってから話しかける「ユマニチュード」の技法をはじめ、いろいろな方法があります。認知症の相談窓口で、専門家やほかの認知症家族とつながることでも、ストレスを軽減する方法が見つかるかもしれません。

こちらのコラムも参考に≫「介護におけるユマニチュードの考え方と方法を知ろう」

こちらのコラムも参考に≫「意外と身近にあった!認知症の悩みの相談先いろいろ」

飲んでいる薬を見直す

複数の疾患がある高齢者は、薬の種類も量も多くなります。飲み忘れないように気を配ることも介護者の大きな負担ですし、なかには副作用が重複して、別の体調不良を生んでいる可能性も。

一度かかりつけの薬局ですべての処方箋をチェックしてもらい、薬効が重複していないか、薬を減らすことができないか相談してみましょう。飲んでいる薬をまとめて一包化してもらったり、薬剤師さんに自宅に来てもらう訪問薬剤指導を利用するのもおすすめです。

「まあいいか」の余裕を

明るいリラックスする主婦

同じことが起こっても、受け止め方の違いひとつでストレスを感じる人と感じない人がいます。ストレスを感じやすいタイプは2つあり、1つめは真面目で頑張り屋、せっかちなタイプ。2つめは我慢強くて自分より人を優先するいい人タイプ。自分はどちらかに当てはまるな、と思ったら要注意です。

どちらの個性も美点ではあるのですが、いきすぎると自分を傷つけてしまいます。介護ストレスを感じにくくするために、キーワードをひとつ覚えておきましょう。それは「今より良くしてあげようと思わない」こと。

介護する家族がどんなに心配してあれこれ手をつくしても、取り入れるかどうかは本人次第であり、彼らには彼らなりの意思があります。無理にこちらの思いを通そうとすると、相手もこちらも大きなストレスを抱えてしまいます。

もちろん本人のためになることを受け入れてもらえるよう、いろいろな方法を試すのは素晴らしいこと。ただ、その結果受け入れてくれなくても「まあいいか」と流せるだけの余裕を、心のどこかに持っておくことは必要です。危険や反道徳的でない限り、相手の気持ちを尊重することで、互いにストレスを軽減することができるはずです。

笑顔で接することができるように

最後に、家族介護のストレスを軽減するためのポイントをまとめておきましょう。

  • 公共の介護サービスを活用して休息をとる
  • 相談できる相手を持つ
  • 仕事はできるだけ辞めない
  • 今より良くしてあげようと思わない

これらを試してもストレスが改善しないようなら、在宅にこだわらず、施設介護に切り替えることも考えてみてくださいね。介護経験者からは「老人ホームはかわいそうというのは思い込みだった」「もっと早く施設に入れてあげればよかった」という声もよく聞こえてきます。

介護は思い通りにならないことだらけ、ストレスがまったくない日など皆無です。それでもストレスと上手く付き合うことで、互いに笑顔で接しあえる時間が少しでも多くなればいいですね。

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