意外と身近にあった!認知症の悩みの相談先いろいろ

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相談をするシニア女性

脳の働きが低下することで生活にも支障をきたすようになる認知症。できないことが増えていくのを突き付けられる辛さは、一人ではとうてい乗り越えられません。認知症当事者やケアに関わる人は、しんどい思いを誰かと分かち合ったり、負担を分け合ったりすることが不可欠です。

「三人寄れば文殊の知恵」というように、悩みは経験者同士で共有したり、専門家に相談することで軽くなります。相談できる場は、医療機関以外にも自治体、家族の会、認知症カフェなど、意外にたくさんあります。認知症に関する悩みを抱えている人、ケアで行き詰まりを感じている人は、一人で抱え込まず相談してみてくださいね。

困ったら自治体の相談窓口へ

聞き取りをする介護職員とそれを受ける高齢女性

ゴミ出しができない、火の元が不安等々、日常生活に困りごとがある場合はお住まいの自治体へ相談を。認知症の診断がおりていなくても構いません。最寄りの市役所の高齢者相談窓口や、地域包括支援センターなどで相談を受け付けています。

「全国の地域包括支援センターの一覧」(厚生労働省ホームページ)

窓口では悩みごとを聞いてどんな支援が必要かを考え、医療機関や介護施設などと連絡を取りあい、必要なサービスにつなげてくれます。介護保険のサービスを受ける場合は、要介護の認定を申請することもできます。

もちろん相談は一切無料。専門知識を持った職員が対応してくれますので、困ったことがあったらぜひ相談してみてください。

認知症について相談できる医療機関

軽度の物忘れなど認知症が疑われる状態なら、医療機関に相談してみましょう。診療科は「物忘れ外来」「認知症外来」「脳神経内科」「心療内科」「精神科」などになります。

≫全国の認知症専門医リスト(日本認知症学会ホームページ)

≫全国もの忘れ外来一覧(公益社団法人 認知症の人と家族の会ホームページ)

どこを受診して良いか分からない場合、またハードルが高く行きづらい場合は、かかりつけの医師に相談してみるのがおすすめ。普段からお世話になっている先生から紹介してもらうことで、本人も抵抗なく受診できることがあります。

認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」なら、対策を行うことで症状が改善したり、認知症の発症を予防できる可能性も。認知症ではない別の病気が判明することもあり、適切な治療につなげられることもあります。「なんだかおかしいな」と感じたら、放っておかず早めに医療機関で診断を受けてくださいね。

認知症家族の悩みが相談できる場所

電話をする女性

認知症家族だけに分かるさまざまな悩みは、同じ立場の人が集まる「家族の会」などの自助グループに参加してみるのがおすすめ。他の人が話しているのを聞いているだけでもストレスが癒やされ軽くなります。認知症ケアに関するさまざまな情報が得られるのも大きなメリットです。

≫「全国の支部一覧」(公益社団法人 認知症の人と家族の会ホームページ)

「認知症家族の会」では、無料の電話相談も行っています。集まりに出かけるのはハードルが高くても、電話なら気軽に相談できますね。認知症介護の経験者が対応してくれるので、困ったときの対処法や息抜きの方法など、いろいろ聞いてみてください。

≫「電話相談」(公益社団法人 認知症の人と家族の会ホームページ)

65歳未満の若年性認知症に関する相談であれば下記もおすすめ。電話でもメールでも相談でき、当事者やご家族の相談に親身になって応じてくれます。

≫若年性認知症コールセンター(認知症介護研究・研修大府センターホームページ)

認知症カフェも利用してみよう

認知症の当事者も含め、気軽に参加できるのが「認知症カフェ」。国の認知症施策の一環として2012年から始められた試みです。数百円の参加費で予約が必要なく、誰でも立ち寄ってコーヒーを飲みながら話をしたり、講話を聞いたり認知症に関する情報を得ることができます。

認知症本人もデイサービスなどの介護施設と違って抵抗なく行くことができ、リラックスした雰囲気で同じ悩みを持つ人とつながったり、専門家に相談することができます。全国に6,000ヵ所ほどありますので、お住まいの地域にもきっとあるはず。

詳しい場所などの情報はインターネットで検索するか、お住まいの役所の高齢者福祉課や地域包括支援センターで、「認知症カフェはどこにありますか?」と尋ねてみてくださいね。

私たちの認知症カフェ(厚生労働省)

介護職が認知症ケアについて悩んだら

介護職は認知症の利用者さまと接する機会が多いので、その分ケアに関する悩みも抱えがち。暴言や暴力など心や体が傷つくようなことがあれば、一人で抱え込まず必ず周囲と共有してください。「私も同じこと言われたよ」「同じ気持ちになったよ」という仲間の声を聞くだけでも、ストレスが軽減できるでしょう。

また認知症の方が問題行動を起こすときには、本人なりの理由があることが多いもの。他のスタッフとそのときの状況を共有することで、何がきっかけになっているかが分かることもあります。「もしかして○○が怖いのかもしれない」など理由に見当がつけば、対策を立てることも可能になります。

さまざまな方法を試してもどうしても改善しないなど、対応が難しいようであれば別の施設にお願いすることもできます。利用者さまも大切ですが、自分が一番大切にしなくてはならないのは自分自身。「私がガマンすれば」と気持ちを押し込めてしまわず、ぜひ周囲に相談してください。

人とのつながりが力をくれる

談笑を楽しむ女性たち

認知症を受け入れ、ともに生きていくことにはさまざまな葛藤があります。本人はもちろん、元気だった頃をよく知っているご家族ならなおのこと。もちろん、介護を仕事にしているプロでさえ、ときには疲れ切ってしまうこともあります。そんなときに大きな力となるのが、話を聞いて気持ちを分かってくれる人の存在です。

一人では乗り越えられないことも、仲間がいれば乗り越えられることがあります。相談できる場をたくさん持ち、ぜひそこで仲間を見つけてください。同じ境遇の人とつながり、一人ではない、と思えることが大きな力になってくれますよ。

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