認知症予防で評判のえごま油。気になる効能と効果的なとり方を紹介

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えごま油

認知症や生活習慣病の予防に効果がある、と評判の「えごま油」。
シソ科植物のえごまの種からつくられた「えごま油」には、必須脂肪酸と呼ばれる「α-リノレン酸」が多く含まれています。

「必須脂肪酸」(※1)は体内で作ることができないため、食べ物から摂取する必要がある脂肪酸のことです。動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用があります。

必須脂肪酸の「α-リノレン酸」が体内で変化したDHAやEPAは、認知症や生活習慣病などに効果があるといわれており、「α-リノレン酸」を多く含む(※2)えごま油は、近年とくに人気があります。

この記事では、えごま油の気になる効能と効果的にとるための注意点、手軽な摂取方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

※1 参照:必須脂肪酸:e-ヘルスネット(厚生労働省)

※2 参照:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

えごま油の効能「認知症と生活習慣病の予防」

シニア夫婦がたたずむおだやかな風景

えごま油には、さまざまな効能があるといわれており、そのなかでもとくに「認知症予防」「生活習慣病予防」によいとされています。
以下、えごま油の効能について詳しく説明します。

えごま油の効能

前述したように、えごま油に含まれる「α-リノレン酸」は、体内でDHAやEPAに変化します。
このふたつの成分の働きにより、認知症や生活習慣病の予防などに効能があると科学的な実証がされてきています。

DHAとEPAに期待される効果は、以下の通りです。

  • DHA:脳の発達促進・認知症予防・視力低下予防・動脈硬化の予防改善・抗がん作用
  • EPA:血栓予防・抗炎症作用・高血圧予防

参考:健康食品のデータベース

認知症予防に効能があるとされる理由

認知症には、いくつかの種類があり、とくに多くみられるのは「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」です。
どちらの原因も、糖尿病や高血圧、高脂血症などが大きく関わっているとわかっています。

「アルツハイマー型認知症」は、脳の中にアミロイドβというたんぱく質がたまることによって正常な脳の神経細胞が壊れ、脳を萎縮させる病気です。

現在、えごま油が「アルツハイマー型認知症」に対して、直接的な効果が期待できるという科学的な実証はされていません。

ですが、えごま油に含まれる「α-リノレン酸」が体内で変化したDHAは、神経組織の維持に必要な成分で、神経細胞の情報伝達を活性化させる働きがあるとされています。
脳の神経細胞の活性化は、認知症予防において重要です。

アルツハイマー型認知症で死亡した人(平均年齢80歳)と他の疾患で死亡した人(平均年齢79歳)の脳内DHAを比較した結果があり、アルツハイマー型認知症で亡くなった人では他の疾患で死亡した人に比べてDHAの組成が 1/2 以下に減少していたという報告もあります。

アルツハイマー型認知症による脂肪酸組成の変化のグラフ

引用:「ライフステージにおける DHA・EPA の関わり~中年期から高齢期②~」宮城大学 食産業学群フードマネジメント学類教授 西川 正純

「脳血管性認知症」は、脳出血や脳梗塞など、脳の血管の病気によって脳の血管が詰まったり出血することで、脳の機能が低下する病気です。

えごま油に含まれる「α-リノレン酸」が体内で変化したDHAやEPAの働きにより、血液を流れやすくして血栓をできにくくするので、「脳血管性認知症」の原因になりうる、脳や心臓の病気を予防する効果が期待できるとされています。

参考:栄養素の説明(オーソモレキュラー栄養医学研究)

参考:水産物に含まれる主な機能性成分(農林水産省)

参考:DHAによる脳機能維持作用と医療応用(島根大学医学部生理学講座環境生理学 橋本道男)

サラダを食するシニア女性えごま油を効果的にとるための注意点

健康効果があるといわれているえごま油ですが、効果的に摂取するには、以下について注意しましょう。

  • 摂取量を守る
  • 加熱しない
  • 毎日続ける
  • 購入時は製造ラベルを確認する

認知症予防効果につなげるためにも、この4つを押さえておくことが大切です。
それぞれについて、理由をお伝えします。

摂取量を守る

α-リノレン酸やDHA・EPAは、オメガ3脂肪酸に分類されます。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人1人あたりの摂取目安量を1.6~2.2gとしています。
ティースプーンであれば、1~2杯程度です。

油は吸収が早いので、朝に取れば、脳を活性化させて1日のスタートがきれますよ。

ただ、とりすぎはカロリーオーバーになるため、注意しましょう。
たとえば、いつもパンにつけているバターと置きかえるのもおすすめです。
他の油分との置き換え方法は、後ほど詳しくご紹介します。

参考:日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)

加熱しない

「α-リノレン酸」は酸化しやすいので、加熱調理をすると有効成分が壊れてしまいます。
炒め物や煮物に使う際は、火を止めてから仕上げとして食べる直前にかけるのがおすすめです。
調理後にかけることで、えごま油の風味がプラスされて、おいしく仕上がりますよ。

酸化を防ぐために、開封したら冷蔵庫で保存して、なるべく早く使い切るようにします。

毎日続ける

えごま油を効果的にとるには、一度に大量ではなく、前述したようにティースプーン1~2杯程度を毎日少しずつとるとよいでしょう。

えごま油の効果を感じるのは個人差があります。栄養バランスのよい食事や運動を組み合わせながら、体調の変化を感じてみましょう。

購入時は製造ラベルを確認する

えごま油には、品質に関する公的な規格はありません。色はほぼ無色のものから褐色のものがあり、見た目や表のラベルだけでは、どのような品質のえごま油であるか分からない場合もあります。

裏の製造ラベルを見て生産地や搾油所のわかるものの方が安心です。品質がいい確率も上がりますので、購入の際はチェックしましょう。

またえごま油は、焙煎していない低温圧搾されたものと、焙煎して搾油した高温焙煎されたものがあります。
前述したように、「α-リノレン酸」は熱で壊れますので、低温圧搾法(コールドプレス)で搾油したものを選ぶとよいでしょう。

参考:見た目だけでは分からない、えごま油の品質(独立行政法人国民生活センター)

参考:一般社団法人日本エゴマ協会 えごま油の選び方

サラダにえごま油をかけるかけるだけでOK。えごま油の摂取方法

えごま油の簡単なとり方をご紹介します。
どれも簡単にできて続けやすいので、参考にしてみてください。

かける

かけるだけで、簡単に取り入れられる方法をご紹介します。

  • コーヒー:毎日コーヒーを飲む人は、コーヒーに入れると毎日続けやすくなる。コーヒーの酸味がやわらぎ、飲みやすくなる。
  • 野菜ジュース:野菜ジュースに加えると、独特のくせがやわらいで飲みやすくなる。
  • 味噌汁やスープ:食べる前に加えると、コクがプラスされておいしくなる。
  • 納豆:いつも食べている納豆に加えると、風味が加わり、よりおいしくなる
  • おひたし:えごま油を加えることで、香りがプラスされてよりおいしくなる。
  • 冷ややっこ:淡泊な豆腐にコクが加わり、おいしくなる。
  • うどん:食べる前にまわしかけると、風味が加わってよりおいしくなる。

置き換える

いつもの油分を置き換えるだけの方法をご紹介します。

  • ドレッシングの油:サラダのドレッシングを作るときの油をえごま油にする。
  • マヨネーズ:マヨネーズをえごま油に置き換える。
  • バター:トーストに塗っているバターと置き換える。
  • ごま油:風味アップのために使うごま油をえごま油に置き換える

えごま油を普段の食生活に取り入れて、認知症予防を実践

えごま油の気になる効能と、効果的にとるための注意点、簡単な摂取方法を紹介しました。

日々、えごま油を上手に取り入れることで、認知症予防につながります。食習慣や運動なども見直しながら、まずは続けてみましょう。

参考文献:『認知症を防ぐ!えごま油レシピ』市瀬悦子著 株式会社ワニブックス

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