介護の資格「社会福祉主事任用資格」について調べていると、次のような疑問が出てきませんか?
「社会福祉主事任用資格と社会福祉主事って、どう違うのだろう?」
「社会福祉主事任用資格を持っていても意味ないの?」
本記事では、そもそも社会福祉主事任用資格とはどのような資格なのか、持っていることの利点、資格を活かせる職場や取得方法などについて解説します。
社会福祉主事任用資格について詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてくださいね。
社会福祉主事任用資格とは
社会福祉主事任用資格とは、都道府県や市町村で、公務員として社会福祉に関わる仕事をおこなうために必要なものです。
生活相談員や医療機関の相談員、介護福祉事業所の事業所長などに任用される際、社会福祉主事任用資格が要件になっていることもあります。
社会福祉主事任用資格は、大学や短期大学、通信教育など、さまざまな方法で取得可能です。
取得方法については、後ほど詳しくご紹介します。
社会福祉主事任用資格と社会福祉主事との違い
ここでは、社会福祉主事任用資格と社会福祉主事との違いを解説します。
まず、社会福祉主事任用資格の「任用資格」とは、実際に職務に任用されることで効力が得られる資格のことです。
任用資格を持っている人が、公務員試験に合格し配属されることで、初めて社会福祉主事として働けます。
社会福祉主事任用資格を持っているだけでは社会福祉主事になれません。
社会福祉主事の「主事」とは、「地方公共団体の日常業務を担う一般的な正規雇用職員」をさします。
ちなみに、名前がよく似ている社会福祉士は、社会福祉専門職の国家資格のひとつです。
社会福祉主事任用資格の証明方法
社会福祉主事として働くには、任用試験を受けるときや応募をする際、社会福祉主事任用資格を持っていることを証明する必要があります。
社会福祉主事任用資格には、国や自治体が発行する「資格証明書」はありません。
資格を証明したい場合は、履修済科目が記載された大学の成績証明書と卒業証明書を、本人が雇用先に提示します。
一部の大学では、学生向けのサービスとして、履修した科目のうち指定科目のみを抽出した履修証明書などを独自に発行していることもあります。証明が必要なときは、大学に問い合わせてみましょう。
社会福祉主事任用資格は意味がある?
ご紹介したように、社会福祉主事任用資格は社会福祉主事として仕事をするために必要な資格です。また民間の企業でも、多くの施設で社会福祉主事任用資格を持っている人材の募集をおこなっているところも。
他の資格に比べて取得しやすく資格手当がつく場合もあるので、スキルアップや仕事の幅を広げるうえでも持っておくとよいでしょう。
また、社会福祉主事として2年以上相談業務を経験し、短期養成機関などで学ぶことで、大幅な給与アップが期待できる社会福祉士の受験資格を得られることも社会福祉主事任用資格を取得するメリットでしょう。
社会福祉主事任用資格が必要な仕事・活かせる施設
ここでは、社会福祉主事任用資格が必要な仕事や、資格を活かせる施設を紹介します。
社会福祉主事任用資格が必要な仕事
(※自治体で公務員として任用されることが必須)
- 福祉事務所の相談員(ケースワーカー)
- 福祉事務所の査察指導員(スーパーバイザー)
- 児童相談所での相談援助
- 在宅医療での相談援助
社会福祉主事任用資格を活かして活躍できる施設
自治体以外にも、社会福祉主事任用資格を活かして活躍できる施設は幅広くあり、以下のような施設で働くことも可能です。
- 母子福祉施設
- 児童福祉施設
- 身体障害者福祉施設
- 知的障害者福祉施設
- 老人介護福祉施設
- 病院
また、施設によっては社会福祉主事任用資格が施設長の要件として指定されていることも。
事業所長を目指す方は、取得しておくとよいでしょう。
社会福祉主事任用資格の取得方法については、次で詳しくご紹介します。
社会福祉主事任用資格 5つの取得方法
社会福祉主事任用資格を取得するには、主に5つの方法があります。
- 大学・短期大学で取得
- 通信教育で取得
- 指定養成機関で取得
- 都道府県の講習会で取得
- 社会福祉士・精神保健福祉士になって取得
一つずつ見ていきましょう。
①大学・短期大学で取得
大学または短期大学において、厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目から3科目以上を修めて卒業すると取得できます。(2~4年)
現在在籍している大学が福祉系の大学や学部でなくても、カリキュラムのなかに社会福祉に関する科目があれば、取得可能です。
以下、指定されている科目です。
社会福祉概論、社会保障論、社会福祉行政論、公的扶助論、身体障害者福祉論、老人福祉論、児童福祉論、家庭福祉論、知的障害者福祉論、精神障害者保健福祉論、社会学、心理学、社会福祉施設経営論、社会福祉援助技術論、社会福祉事業史、地域福祉論、保育理論、社会福祉調査論、医学一般、看護学、公衆衛生学、栄養学、家政学、倫理学、教育学、経済学、経済政策、社会政策、法学、民法、行政法、医療社会事業論、リハビリテーション論、介護概論
(※平成12年~現在までの卒業者(平成12年3月31日 厚生省告示第153号))
引用:厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目(三科目主事(社会福祉法第19条第1号))(厚生労働省)
参考:社会福祉法第19条第1号
②通信教育で取得
全国社会福祉協議会が経営する中央福祉学院の社会福祉主事資格認定通信課程を修了。
または日本社会事業大学の通信教育過程を修了すると取得できます。(1年)
通信教育は、自分の都合に合わせて学習などを進めていけるため、勉強と仕事の両立も可能です。
カリキュラムには講義や研修なども含まれるので、日程などを確認しておきましょう。
参考:社会福祉法第19条第2号
③指定養成機関で取得
社会福祉主事養成機関で指定の科目を修めて卒業すると取得できます。(22科目・1,500時間)
全国にある社会福祉主事養成施設の一覧はこちらです。
参考:社会福祉法第19条第2号
④都道府県講習会で取得
都道府県等がおこなう講習会で指定の科目を修めると取得できます。(19科目・279時間)
参考:社会福祉法第19条第2号
⑤社会福祉士・精神保健福祉士で取得
国家資格である社会福祉士、または精神保健福祉士の資格を取得している場合、社会福祉主事任用資格も得られます。
社会福祉主事任用資格を取って、活躍の場を広げよう
社会福祉主事任用資格は、公務員として介護の仕事に関わる「社会福祉主事」になるために必要な資格です。
高齢者や障がいを持つ方など、生活に困っている方々のサポートをする社会福祉主事は、公的機関だけではなく、民間機関や施設での求人でも需要があります。
目の前の相手が必要としている手助けをおこなう仕事は、大きなやりがいと達成感も得られるでしょう。
社会福祉に関心を持っている方や、介護などの専門職を目指している方は、社会福祉主事任用資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。