【高齢者ケアストレスカウンセラー】取得の方法と活かし方

資格・スキル

利用者と話すカウンセラー

高齢者をとりまくストレス源は、老いに対する不安や孤独、喪失体験や体調不良による気分の落ち込みなどさまざま。それらをカウンセリングによってケアしていく専門職が、「高齢者ケアストレスカウンセラー」です。

高齢者に限らずあらゆる年齢層の「こころ」について知識を深められるので、人の相談に乗ることに喜びを感じる人、自分や周囲の人のメンタルケアに興味がある人に、メリットが大きい資格といえるでしょう。

介護現場でもプライベートでも役立つ「高齢者ケアストレスカウンセラー」。気になる試験内容や難易度、受験資格といった具体的な取得方法をはじめ、身につくスキル、求人状況等をご紹介していきます。興味のある方はぜひチェックしてくださいね。

「高齢者ケアストレスカウンセラー」とは?

クリップボードの上の車いすの模型

高齢者ケアストレスカウンセラーは、内閣府の認可を受けた「一般財団法人 職業技能振興会」が認定する民間資格です。この資格を取得すると、高齢者やその介護者が抱える心の問題に対し、アドバイスやカウンセリングができる知識が身につきます。

高齢者の心理状態やメンタル疾患についての正しい知識を持っていると、深刻化する前にSOSに気づくことができ、医療へつなげるなどの対処が可能に。また相手のふところに入り込む傾聴術や、ストレスへの対応方法、リラクゼーション法についても学ぶことができます。

身につけた知識は高齢者自身やその家族だけでなく、自分自身や周囲のスタッフのストレスケアに役立てることができるのも魅力です。

受験資格は?

受験票とカレンダー

「高齢者ケアストレスカウンセラー」を取得するためには、同じ団体が認定する「ケアストレスカウンセラー」資格を取得している必要があります。この資格でまず心のケアについての基礎部分を学習し、さらに「高齢者ケアストレスカウンセラー」で専門性を高めるという形になっています。

この2つの資格は併願して同時に受験することもできます。ただし「ケアストレスカウンセラー」に落ちてしまうと、「高齢者ケアストレスカウンセラー」だけ合格点に達していても合格にはなりませんので注意が必要。受験資格については、どちらも18才以上であれば誰でも受験が可能。入り口のハードルは低い資格といえるでしょう。

どんな知識が身につく?

参考書で勉強する女性

◆ケアストレスカウンセラー

心理学や精神医学の基礎知識、コミュニケーションの基礎知識を学ぶことができます。学習は公式テキストの内容に沿って進めていきます。

【ケアストレスカウンセラー 公式テキスト目次】

  1. こころって、何だろう? ―心理学の基本を知ろう―
  2. こころの健康って、何だろう? ―精神医学の基本を知ろう―
  3. こころの病って、どんなものだろう? ―主なメンタル疾患の基本と対策を知ろう―
  4. 人と人のかかわりって、何だろう? ―対人コミュニケーションの基本を知ろう―
  5. ストレスって、何だろう? ―ストレス対処法の基本を知ろう―

◆高齢者ケアストレスカウンセラー

こちらも公式テキストが学習の中心。高齢者のストレス・マネジメントに関する知識や技術、高齢者とのコミュニケーション技術、高齢者のメンタル疾患などについての知識を深めていきます。

【高齢者ケアストレスカウンセラー 公式テキスト目次】

  1. 高齢者とストレス
  2. ストレスに強くなる
  3. 高齢期におけるコミュニケーション
  4. 自宅でできるリラクゼーション
  5. 老いの心理と高齢者ケアの現状
  6. 起こりうる高齢者と家族の心の病とその予防

テキストや試験を通じた学びだけでは物足りない人、もっとカウンセリング技術を磨きたい人のために、資格取得者を対象にした実技研修も定期的に行われています。資格取得後も、実践練習を通じてカウンセリングや傾聴のスキルを深めていけるのもポイントです。

ケアストレスカウンセラー各種実技研修のご案内(一般財団法人 職業技能振興会HP)

試験の方式・難易度は?

「EASY」「HARD」と書かれたブロック

「高齢者ケアストレスカウンセラー」「ケアストレスカウンセラー」、どちらの資格も試験は公式テキスト内からの出題プラス一般常識問題で、時間は60分。多肢選択式で、合格基準は正答率70%以上となっています。多くの設問が公式テキストからの出題で、難易度は比較的低め。受験者はテキストをしっかり読み込んで、理解を深めておくとよいでしょう。

試験はコンピューターを使って行うCBT形式。試験会場となるテストセンターは全国に220ヵ所以上あり、47都道府県すべてに設置されているので、試験のために遠出する必要がないのはうれしいですね。

コンピューターの操作も難しくなく、クリックなどの基本的な操作ができれば大丈夫。試験終了と同時に結果が確認できるのもCBT形式のメリットです。

受験にかかる期間・費用は?

受験費用のイメージ図

「ケアストレスカウンセラー」・「高齢者ケアストレスカウンセラー」は、独学でも十分合格が目指せる資格です。何度も読み込んで内容をしっかり理解しておきましょう。ただしそれぞれ300ページ強とボリュームがあるので、一度に2つの資格を取ろうとすると多少リスクがあるかもしれません。

「ケアストレスカウンセラー」の資格をまだ持っていない人は、いきなり併願するのではなく、ひとつずつ受験するほうが確実。試験は年3回行われているので、焦らなくても大丈夫です。もちろん1日どのくらい勉強できるかによりますが、ひとつの試験に対して1ヵ月~3ヵ月程度あれば準備を整えることができるしょう。

費用については、独学で学ぶ場合は下記の通り(2022年8月現在)。

【ケアストレスカウンセラー】
公式テキスト代:2,640円、受験料:10,000円、認定登録料:5,000円⇒合計17,640円

詳しくはこちら≫ケアストレスカウンセラー(一般財団法人 職業技能振興会HP)

【高齢者ケアストレスカウンセラー】
公式テキスト代:2,200円、受験料:12,000円、認定登録料:5,000円⇒合計19,200円

詳しくはこちら≫高齢者ケアストレスカウンセラー(一般財団法人 職業技能振興会HP)

2つの資格を合わせると、37,000円弱。試験会場までの交通費などを入れても、だいたい40,000円程度で収まる計算です。

ケアストレスカウンセラー(一般財団法人 職業技能振興会ホームページ)

公式テキストだけでは物足りない場合や、もっと学びを深めたい場合は、費用がかかりますが通信教育を選ぶこともできます。この場合、2つの資格を対象とした講座の受講料として68,000円ほどプラスされるので、受験料と登録料を合わせて総額10万円程度みておきましょう。

ヒューマンアカデミー「たのまな」心理カウンセリング通信講座

「高齢者ケアストレスカウンセラー」の求人は?

利用者に寄り添うカウンセラー

「高齢者ケアストレスカウンセラー」は民間資格なので、この資格での求人募集はほとんどありません。しかし介護に携わる人が高齢者の心理についての知識を持っていれば、介護の現場で非常に役立ちます。多くの人が介護職や看護職として働きながら、スキルアップの一環として資格を取得・活用しています。

この資格を持った人が活躍できる職場の代表格は、老人ホームやデイサービスなどの介護施設、訪問介護事業所、病院などの医療機関。高齢者の身体的なケアだけでなく精神的なケアもできれば、いっそう介護の仕事がスムーズになり、楽しくもなるはずです。

この資格の取得で直接収入アップや出世することは考えにくいですが、ケアの質が上がることで結果的に評価が上がったり、役職がつくといったことは十分考えられます。もちろん求職・転職活動でも、正しい知識に基づいてお年寄りの精神面をサポートできることの証明になるので、ぜひ履歴書に書いてアピールしていきましょう。

「こころ」に詳しい介護職へ

「どうしてこの方はこんな反応をされるのかな」「どうしたら元気を出してもらえるだろうか」・・・よくあるこんな悩みも心理学や精神医学の知識があれば、「こういう心理状態の表れだったのか」「こういう聴き方をすれば心を開いてもらいやすい」等々、本当の心の声に気付きやすくなります。

また、ストレスへの対応法やコミュニケーション法を身につければ、職場だけでなくプライベートでも家族や友人との関係がさらに豊かになることでしょう。あなたを介護職として、また一人の人間としてもっと成長させてくれる資格ですので、興味のある方はぜひ取得を検討してみてくださいね。

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