災害弱者を取り残さない!防災介助士資格とは

資格・スキル

食事中に苦しむシニア女性を介助する女性介護士

ひとたび災害に遭えば、健康な大人でも激しく体力や精神力を消耗してしまうもの。高齢な方や障がいのある方など平時から支援が必要な人々なら、なおいっそう困難なこともあるでしょう。平時にもまして非常時こそ、こういった立場の人への配慮が必要とされています。

災害に備えるうえで、また災害に遭ったとき、正しい知識を持ってそうした人々を助けることができるのが「防災介助士」。2011年の設立以来、この資格は自治体や企業の防災担当者、普段から災害弱者と接することが多い方などを中心に資格取得者を増やしています。

防災介助士資格があれば災害時だけでなく、日常で起こる事故にも落ち着いて対応できるようになります。身近に支援が必要な人がいる方は、このコラムでぜひ詳しく知ってくださいね。

防災介助士とは

寝たきりの方や移動に車いすを使う人など、いざというとき避難に時間がかかる人は「避難行動要支援者」、妊婦や乳幼児など特別な配慮を必要とする人は「要配慮者」と呼ばれます。

防災介助士はそういった方への対応を中心に、災害への備えや災害時の対応について学ぶことができる民間資格。公益財団法人 「日本ケアフィット共育機構」が認定を行っています。テキストによる自宅学習や実技教習を通じて、防災についての基礎知識や避難のポイント、高齢者や障がい者に対する介助方法、応急手当の方法、チーム作りの基本などを身につけることができます。

防災訓練は普段から職場や学校などで行われていますが、多くの場合避難者は健常であることが前提となっています。残念ながら、要配慮者や要支援者への対応に焦点を当てて学ぶ機会はとても少ないのが実情です。

防災介助士の役割は、防災への取組みや災害時にこうした方々にとって障壁となるものを取り除くこと。すべての人に非難行動のサポートや救護、物資、食料、情報などの支援がスムーズに届くよう、適切な行動を実践していきます。

≫防災介助士(公益財団法人日本ケアフィット共育機構HP)

取得費用と取得の流れ

自宅で勉強中の女性

受講料は税込で27,500円(学生割引価格24,600円)(2021年12月時点)。受験資格はとくになく、誰でも申し込むことができます。受講期間は申し込みから12ヵ月以内となっていますが、取得にかかる期間は平均で2~3ヵ月ということです。

申し込み後に送られてくるテキストに自宅で取組み、課題100問を提出。70点以上をとると、次の段階である実技教習・筆記試験に進みます。ただし実技教習を受けるまでの間に最寄りの消防本部などで「救急救命講習」を受けておく必要があります。

実技教習にかかる日数は1日。いくつかある会場・日程のなかから、都合の良いものを選んで参加します。教習の最後に50問の筆記試験を行います。70点以上で試験に合格でき、晴れて防災介助士としての登録申請が可能です。点数が70点に満たなくても3,300円(税込)で再受験することができるので、合格の難易度は高くはありません。

登録申請後、認定証が授与されますが、3年に1度更新が必要となります。更新手数料は3,300円(税込)となっています。

※救急救命講習:日本各地の消防本部や日本赤十字社が行う講習。AEDの使い方や気道異物除去、止血法など応急手当の方法を習得することができる

カリキュラム内容は?

テキストでは防災介助士の基本理念や、防災についての基礎知識、防災技術、関連する法や制度といった内容を学びます。

実技教習では、ケガをした人・歩けない人を椅子や毛布など身近な道具を使って搬送する具体的な救助方法を学んだり、三角巾を使った足首の固定法等の応急処置などを学びます。

またICS(インシデント・コマンド・システム=現場指揮システム)という災害現場や事件現場などに活用されるシステムをもとにチーム作りの基本について学んだり、実際にロールプレイも行います。

確実に現場で役立つスキルを身につけられるよう、テキスト学習だけでなく実際に見て触れて学ぶ時間を設けるなど、実体験を重視したカリキュラムとなっています。

防災介助士が活躍するシーンとは

防災介助士が能力を発揮するのは、災害への備えを行う場面や、災害に直面して実際に避難を行うようなシーンです。どのような障がいを持つ人に対してどのような備えが必要かや、避難時におさえるべきポイントなどを理解しているため、的確な備えや避難誘導ができるようになります。

またさまざまな状況の人が集まる避難所では、通路に車いすが通れる幅を確保したり、視覚・聴覚に障害を持つ人にも伝わりやすい情報伝達などが欠かせません。防災介助士であれば高齢者や障がいを持った人の目線に立ったアドバイスができ、すべての人の避難生活の快適性アップにつなげることができます。

ただし公的資格ではないので、災害現場で責任ある立場に就いたり、特別な権限を持つことはありません。あくまでもボランティアとしての活動の範囲内となります。

とはいえ介護施設や自治体、学校や町内会、ビル管理会社や警備会社などで防災担当者がこの資格を取得しておけば、いざというとき専門知識が大いに役立つはず。障がいのある人に支援の手が届かないといった悲劇を防ぐことができるでしょう。防災担当者ではなくても、防災に興味を持つすべての方におすすめしたい資格です。

防災士との違い

防災介助士とよく似た資格として「防災士」という資格があります。こちらも民間資格で難易度は低め、受験資格は設けられておらず誰でも受験できる資格です。

防災介助士との大きな違いは、カリキュラム内容と費用。防災介助士は「自宅学習+1日実技教習・試験」というスタイルですが、防災士は講師による会場研修を2日間受けた後、試験を受ける必要があります。

また防災介助士では、避難行動要支援者や要配慮者など、災害弱者への対応にスポットを当てているのに対し、防災士では全般的な内容を主に取り扱います。また座学中心となっている点も、実技教習を重視する防災介助士とは大きく異なります。

費用は講座受講費用として53,900円(税込)、資格試験の受験費用として3,000円、登録申請の費用として5,000円。合計61,900円という金額は、防災介助士に比べるとかなり高めに感じられます。

ただし自治体による助成が受けられる場合もあるので、興味のある方はお住まいの自治体に問い合わせてみてください。

知恵と工夫で災害被害を最小限に

ヘルメットをかぶり安全を指し示す女性

障害物だらけの道を車いすでどう移動するか、けが人を少人数でどう運ぶか、ケアが必要な人と健常者が避難所で一緒に快適に過ごすにはどうしたらよいか・・・災害現場ではめまぐるしく起こる問題に次々対処していかなくてはなりません。

個々のケースでは往々にして、理想論や一般論は役に立たないもの。決断を迫られたとき、目下の状況をしのぐのに役立つ具体策を知っているかいないかは、明暗を大きく分ける分かれ道となるでしょう。

日本では、いつどこでどんな災害が起きてもおかしくはありません。とくに身近に避難行動要支援者や要配慮者がいるという方は、ぜひ取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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