高齢者人口|2040年には3人に1人が65歳に。介護職の地位向上は必然

介護の仕事

やる気のある看護職員2021年の統計によると、わが国の総人口は前年に比べ51万人減少しています。一方、65歳以上の高齢者人口は3,640万人と、前年(3,618万人)に比べ22万人増加し、過去最多になりました。

2040年には3,921万人になると予測されており、全人口に占める65歳以上の割合が35.3%を超える見込みに。3人に1人が65歳以上になります。

高齢者人口が増加するなか、介護職不足が叫ばれていますが、今後の介護業界はどのように変化していくのでしょうか。本文で詳しく解説します。

参考:統計局ホームページ/統計からみたわが国の高齢者の人口

参考:今後の高齢者人口の見通し

参考:2040年を見据えた社会保障の将来見通し

介護分野の現状

介護分野の現状として、要介護(要支援)の認定者数は、2018年4月の統計では644万人です。18年間で約3倍になっており、このうち軽度の認定者数が大きく増えています。また、近年、増加のペースが再び拡大しています。

介護サービス事業所における人手不足感は、さらに強くなってきており、なかでも訪問介護の人手不足がとくに大きな課題です。

2025年以降に現役世代の人口が急減するため、「いかに働き手を増やすか」といった課題への早急な対応が必要です。

要介護度認定者数の推移参考:要介護度別認定者数の推移 平成31年3月18日 厚生労働省

日本の「2025年問題」と「2040年問題」とは

2007年に日本が超高齢化社会になって以降、ニュースなどで「2025年問題」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。ここ数年、「2040年問題」についての話も出てくるようになりました。

ここでは、「2025年問題」と「2040年問題」について、それぞれ何が問題とされているのかをお伝えします。

早急な対策が必要な「2025年問題」

2025年には、団塊の世代が75歳以上になり、約5人に1人が75歳以上に。高齢者が増えれば、必然的に医療や介護のニーズは高まりますが、現状でも介護人材は不足しています。

しかも厚生労働省の推計によると、2025年の介護人材の需要見込みが253万人なのに対し、現状推移の場合、介護人材の供給見込みは、215.2万人。
このままでは37.7万人も不足することになるので、前述したように、介護人材を増やすための早急な対策が必要です。

参考:2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について|厚生労働省

医療や介護の人材不足が深刻に「2040年問題」

2040年には、団塊の世代が90歳以上になります。医療費や介護費がさらに高くなるのに対して、年金の給付額は減少するなど、さまざまな問題の深刻化が懸念されています。

これまで進めてきた社会保障を維持していくための対策に加えて、以下の2点についても、新たな課題として対策が必要です。

  • 現役世代の人口が急減するなかで労働力を維持
  • 医療・介護サービスの確保

参考:今後の社会保障改革について― 2040年を見据えて(第28回社会保障審議会)

介護服と給与

今後の介護人材確保に向けた取り組み

高齢者人口が増加することによる問題に対応するために、介護の人材確保に向けて行なわれている取り組みを紹介します。

参考:福祉・介護人材確保対策について(厚生労働省)

介護職員の処遇改善加算

「介護職員処遇改善加算」とは、介護職員が安心・安定して働き続けられるための環境整備と、介護職員の賃金改善を目的として創設された加算です。介護職の給料アップ、やりがいを持てる職場づくりを促進するのが目的です。

処遇改善のこれまでの実績をまとめると、給与額が平均5万7,000円アップしました。全産業の平均賃金約36万円と変わらない水準を目指して、今後もさらなる処遇改善が行なわれるよう進められています。

また、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づいて、介護職員を対象に2022年2月~9月分の賃上げが決定されました。2022年10月以降は、臨時の介護報酬改定を行い、賃上げの効果を維持していく予定です。

参考:コロナ克服・新時代開拓のための経済対策(令和3年11月19日閣議決定)

多様な人材の確保・育成(潜在的人材の掘り起し)

介護未経験の人や、介護職を離れた人が再び仕事に就きやすいように、介護福祉士修学資金貸付や、再就職準備金貸付による支援を行う取り組みがされています。

中高年齢者等の介護未経験者に対する入門的研修の実施から、研修受講後のマッチングまでを、一体的に支援します。

今後は介護の周辺業務等の体験支援も取り入れ、入門的研修受講者等へのさらなるステップアップ支援も行う予定です。

明るい希望を抱く介護職員

介護業界の離職防止や人材の定着促進を推進する取り組み

2019年、厚生労働省は介護業界の離職防止や人材の定着促進を推進する取り組みとして、「人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度」の導入を促す通知を、各都道府県に出しました。

認証評価制度は、人材育成や就労環境の改善などにつながる取り組みを実施する介護事業者を、都道府県が評価する制度です。
取り組みの実施と、それを見える化することで、働く職員の満足度を向上することに重きをおいています。

介護職員にとってのメリットは、以下の4点です。

  • ライフスタイルに合わせた多様な働き方ができる。
  • 給与体系やキャリアパスが明確なので、将来を見据えて働ける。
  • 教育制度が整っているので、未経験でも安心して働ける。
  • 事業所ごとの取り組みが可視化されていることで、転職先を検討できる。

各都道府県の認証評価制度を実施状況については、「人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度実施状況について(令和3年4月1日現在)」に一覧が載っています。

参考:人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度の運営にかかるガイドライン

参考:より良い職場・サービスのために今日からできること(業務改善の手引き)

介護職の地位向上と働きやすさへの工夫で介護人材の確保を

今後、国全体の労働力がますます不足していくなか、介護人材を確保していくことは大きな課題です。たとえば、子育てを終えた女性や元気な高齢者が働きやすい環境・制度にすることや、若者が介護業界に興味を持てるような働きかけなどが必要になってきます。

多種多様な人材が「介護職で働きたい」と思えるよう、介護職の地位向上と、働きやすい時間を選べるなど働きやすさへの工夫が不可欠です。

上記を見据え、国は介護職員にとって「働きやすい環境づくり」と「キャリアアップしやすい仕組みづくり」を、今後もさらに推進していくと予測されます。さらにさまざまな人材が求められるようになるでしょう。

報酬や職場環境などの改善が少しずつ進み、離職率も下がっている介護業界や介護職(※)に興味がある方は、まずは問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

※参考:令和2年度「介護労働実態調査」結果の概要について(公益財団法人 介護労働安定センター)

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