介護業界ではより自分の能力を発揮できる場を求め、前向きな転職が活発に行われています。新しい就業先にとっても、前職でバリバリ働いていた人材は即戦力としてとても魅力的。ただしせっかく採用したのにまたすぐに転職されてしまうと事業所は困ります。
当然ながら面接では、「この人は定着してくれるかな」「うちの雰囲気に合っているかな」ということを確かめるもの。前職を辞めた理由や志望動機などの転職理由は、その判断を下すのにとても重要な材料です。質問への回答しだいでは、自分ではそんなつもりがなくても「ネガティブな人」「自分本位な人」などと思われご縁が実らないことも。
今回は「この人なら!」と思ってもらえる、好印象な転職理由の見つけ方をお伝えしていきます。新しい介護施設への転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
介護職の転職理由
まずは実際に介護業界で働いている人たちに対して行われた最近の調査結果※から、介護職のリアルな転職理由を見ていきましょう。前職を辞めた理由については、男女で大きく異なる点が特徴です。
介護関係の仕事を辞めた理由【男性】
- 自分の将来の見込みが立たなかったため(26.9%)
- 職場の人間関係に問題があったため(26.7%)
- 事業所の理念や運営に不満があったため(23.4%)
- 収入が少なかったため(22.9%)
- 他によい仕事・職場があったため(20.2%)
- その他(12.0%)
介護関係の仕事をやめた理由【女性】
- 結婚・妊娠・出産・育児のため(23.9%)
- 職場の人間関係に問題があったため(23.2%)
- 他によい仕事・職場があったため(15.9%)
- 事業所の理念や運営に不満があったため(15.6%)
- 収入が少なかったため(13.7%)
- 新しい資格を取ったから(12.7%)
男性では将来の見通しが立たないこと、女性では結婚や出産などライフスタイルの変化がそれぞれ1位。2位から下位については、順位に違いはあるもののほぼ同じような内容となっています。結婚すれば男性が稼ぎ、女性が家庭に入るという古いスタイルがまだまだ根強く残っている様子が分かります。
現在の法人に就職した理由
- 1位:資格・技能が活かせるから(38.3%)
- 2位:通勤が便利だから(37.7%)
- 3位:やりたい職種・仕事内容だから(36.4%)
- 4位:働きがいのある仕事だと思ったから(35.1%)
- 5位:労働日、労働時間が希望とあっているから(24.9%)
- 6位:社会や人の役に立ちたいから(23.3%)
現在の法人に就職した理由では、上位6位のうち4項目が、自分の活躍できる場や仕事のやりがいを求めるものになっています。意外にも、収入面や福利厚生面、研修などの支援体制に関する項目は7位以下に。
もちろん収入や働きやすさなどの待遇面も大切ですが、それよりも介護職の皆さんが重視しているのは、「自分自身が能力や経験を活かしながら、やりがいをもって取り組めるかどうか」であることが浮き彫りになりました。
志望動機とセットでポジティブに
「ぜひこの人に来て欲しい!」と思ってもらうためには、介護の仕事への熱意を伝えなくてはなりません。転職理由を聞かれたとき、前職を辞めた理由だけだとネガティブな印象におわりがちですが、それを「こうなりたい」という志望動機につなげれば、ポジティブな印象に変わり、意欲が伝わりやすくなります。質問への回答例として、調査結果で上位になっていた退職理由と、現職を選んだ理由をつなげてみましょう。
将来の見通しが立たなかったため(男性1位)←→資格・技能が活かせるから
例:「前職では評価基準があいまいで具体的なキャリアパスがありませんでした。このまま介護職として働き続けていても、将来が思い描けなかったのが退職理由です。私はあと1年で介護福祉士の受験資格を満たしますので、御事業所では介護福祉士の資格を取得して、フロアリーダーを目指して仕事に取り組んでいきます。フロアリーダーの次は介護リーダー、介護リーダーの次は主任といった形で、キャリアパス制度が分かりやすく整備されている点に魅力を感じ、こちらなら明確な目標を持って働けると考えて志望しました」
結婚・妊娠・出産・育児のため(女性1位)←→資格・技能が活かせるから
例:「昨年結婚して家庭を持ったことをきっかけに、ワークライフバランスを見直し、もう少しプライベートの時間を確保したいと考えました。前職では夜勤が必須だったためやむなく退職しましたが、介護福祉士として今まで積んできたキャリアは大切に育てていきたいと考えています。さまざまな勤務時間帯で働ける御事業所なら、家庭と両立しながら資格や経験を活かすことができると考え志望しました。私のケアを通じて利用者様に喜んでいただくことができれば、それが一番のよろこびです」
人間関係に問題があったため(男女2位)←→やりたい職種・仕事内容だから
例:「前職は非常に忙しい施設で、常に職場の雰囲気がピリピリしていました。また、新人の意見にゆっくり耳を傾けるような余裕もなく、疑問に思ったことなども言い出しにくい雰囲気でした。御事業所のホームページで、職員の方々がひとつの目標に向かって協力しておられる姿を拝見し、こちらなら人間関係で消耗することなくチームケアを実践していけると考え、志望しました」
ネガティブな転職理由はひと工夫を
前職を辞めた理由で多いのが「人間関係の問題」や「収入が少なかったから」、また現職を選んだ理由で多いのが「通勤が便利だから」です。しかしこれらの理由は、面接でそのまま転職理由として挙げても好印象にはつながりません。ひと工夫してあなたの意欲が伝わるものにしていきましょう。
人間関係に問題があったから⇒
- 先輩職員の間でコミュニケーションがとれておらず、教わる側として混乱があったので、教育体制の整った事業所でイチから学びなおしたいと思ったから
- 以前の人間関係で学ぶべきこと(あいさつの重要性やスムーズな意見の伝え方など)は学ばせてもらったので、チームケアに力を入れている施設でその経験が活かしたいと思ったから
前職の愚痴になってしまうと「この人はうちでも同じことを言うのでは?」と不安にさせてしまいます。前職の問題点はあくまで客観的な事実を伝えるにとどめ、「尊敬し合える仲間とともに成長したい」という姿勢をアピールしていきましょう。
収入が良かったから
- 介護の仕事に誇りを持ち長く続けていくために、仕事に見合った評価が得られる職場を希望していたから
- がんばって○○資格を取得したので、そこを手当という目に見える形で評価してもらえる点に魅力を感じたから
収入面が理由で転職を決めた場合でも、ただ「収入が良かったから」と伝えるのではなく、「介護の仕事に誇りを持ち、長く続けていきたい」「がんばりが評価してもらえるのでもっとがんばれる」といった言い方にすると、意欲や向上心が伝わりやすくなります。
通勤が便利だから
- 通勤時間を節約することができるため、その分の時間で資格試験の勉強に力を入れ、確実に○○資格を取得したい
- マイカー通勤ができるため、夜勤や早出、遅出などのシフトに対応しやすい
たしかに通勤は働く側にとって重要な要素ですが、面接は「事業所があなたに何をしてくれるか」ではなく「私がどのように事業所に貢献できるか」をアピールする場なので、正直に伝えてもやや場違いに思われてしまいがち。基本的にはあえて転職理由に挙げる必要はなく、伝えるにしてもサブ的な位置づけで伝えるのが良いでしょう。
新天地を求めてチャレンジ!
介護職は、「身につけた知識や技術を提供する専門職」。自分の身についた武器で勝負するので、基本的にどこにいっても通用します。「この職場では自分の力が発揮できないな」「やりたい仕事と違うな」と思ったら、ひとつの職場にこだわらず、新天地を求めてチャレンジしやすいことも介護職の魅力。
「転職したいけど、どんな職場が自分に合うかわからない」「次の職場選びは絶対失敗したくない」そんな方は、一度プロの視点からアドバイスを受けてみるのもおすすめです。
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