【介護の採用】欲しい人材が集まるコツとポイント

介護の仕事

笑顔でポイントを示す施設長

「介護職の求人を出してもなかなか人が集まらない」「採用に至らない」・・・どの介護施設でも一度や二度は経験があるのではないでしょうか。

介護分野で職を探している人は、給与や手当など数字に表れる部分だけでなく「休みの取りやすさ」や「職場の雰囲気」など、働いてみないと分からないような肌で感じる部分を重視しています。

このコラムでは、人材獲得につながりやすい採用活動の方法や、どんな点をアピールしていくと求職者にとって魅力的なのかを解説。ぜひ自施設をしっかり分析してアピールポイントを洗い出し、求職者とのズレのないマッチングをかなえてくださいね。

介護の採用、最新事情

人材採用のイメージイラスト

介護業界は人材不足が深刻で、求人広告を出してもなかなか応募が集まらないというイメージがあります。実際に2022年の有効求人倍率(求職者数に対する求人数の割合)をデータで見てみると、介護サービス業では 2.89(2022年)※1。3件弱の求人数に対し、求職者は1人しかいない計算になるため、人材の奪い合いのような状況に。

全職業での有効求人倍率は1.11なので、それと比較しても介護業界の有効求人倍率は高い水準と言えます。数ある求人のなかから求職者に選ばれるためには、求職者のニーズに合った自施設の魅力を分析してアピールする必要があります。

介護職が職場を選ぶ視点は?

転職について考える介護士男女

介護福祉士資格を持つ人を対象にした統計※2によると、現在介護職として働く介護福祉士が、今の職場を選んだ最も大きな理由の第1位は、「やりたい仕事かどうか(24.1%)」でした。

第2位は「勤務形態が希望に添うかどうか(18.5%)」で、とくにパートタイム職員で割合が高め。家事や育児などと両立することを考え、「シフト申告制で希望日に休める」とか「午前中だけ働きたい」といったニーズに合う職場だったということを表します。

第3位は「職場の雰囲気や人間関係が良い(8.2%)」ということ。チームワークで働く介護職にとっては欠くことのできない視点です。

第4位は「満足できる給与かどうか(6.9%)」。給与面がベスト3に入っていないのは意外と思われる人も多いのではないでしょうか?もちろん給与額も大切ですが、それよりさらに1~3位のほうを重視する人が多いようです。

第5位は「法人の安定性や将来性(6.2%)」。男性職員や正職員で割合が高い傾向があります。「安定した職場で将来を見据えキャリアアップをしていきたい」という希望があると考えると、6位の「キャリアアップの可能性があった(2.3%)」と合算してもう少し重要度高く捉えることもできそうです。

統計からは、実際に介護職が職場を選ぶ際に重視しているポイントが分かります。最も大切なのは、「こんな仕事がしたい」と思える仕事内容であること。その次に、「プライベートと両立できる」「ワークライフバランスがとれる」と思える勤務形態。

それから、職場の雰囲気や人間関係も大切です。前の職場を辞めて別の施設に転職した理由の第1位が「職場の雰囲気や人間関係に問題があった」であることは、肝に銘じておきたいところ。採用活動では、これらのポイントをおさえたアピールをしていくことが必要です。

介護職はどうやって職場を見つけている?

スマホで求人票を見る手元

同じ統計によると、介護福祉士資格を持つ介護職が、今の職場を見つけた方法の第1位は、「友人・知人からの紹介(28.6%)」でした。

第2位は「ハローワークの無料職業紹介(24.2%)」、第3位は「民間の職業紹介や情報誌、チラシ、求人サイト等(21.3%)」となっており、こちらも高い割合を占めています。

そのほか「実習・施設見学・ボランティア」が5.1%を占めており、実際に施設に来て体験をしたことがきっかけとなって就職するケースも少なからず存在します。

職場の雰囲気を重視する介護職にとっては、それがよく分かる知人の口コミや、実際に自分が施設に行ってみて判断する方法(実習・施設見学・ボランティア)が有力な様子。こうした傾向に対してどんな対策が考えられるか、後半ではそのヒントをお伝えしていきましょう。

従業員からの紹介「リファラル採用」

知人に仕事を紹介する介護士

介護職にとって「友人・知人からの口コミ」は強力な情報収集ツール。そこで活用したいのが「リファラル採用」です。リファラル採用とは、すでに働いているスタッフに、周囲の友人や知人で「この人ならきっと活躍してくれる」「この人と一緒に働きたい」と思える人を紹介してもらう方法です。

コネや縁故による採用とは違い、通常と同じ公平な選考が行われ、法人の基準に合わない場合は採用されません。求職者は紹介者を通じて事前に施設のことを詳しく知ることができるため、ミスマッチが少なく定着率が高い点がメリット

また採用コストがほとんどかからないことや、同じ介護スクールの同期生など専門性の高い層にアプローチしやすいこと、就職活動をしていない層にも「うちの施設で働いてみない?」とこちらからアプローチできる点も魅力です。

デメリットは「スタッフに似た人材が増えたり、派閥ができる可能性」「不採用やトラブルになったときに気まずくなる」「辞めるときに仲間を引き連れてやめてしまう」等が挙げられます。また、いつも適材が知人にいるわけではありませんので、大量or定期的に採用したいときには向いていません。リファラル採用を行う際にはこうしたデメリットも理解して、ルール作りを行うことが大切です。

リファラル採用の制度作りのポイント

  1. 「欲しい人材像=スキル・経験・人柄等」を明確にし、普段から職員と共有すること
  2. 内定確約ではなく通常の選考過程があることなど、リファラル採用のルールを周知しておくこと
  3. 既存職員が友人を紹介したくなるような職場づくり

とくに重要なのは「3」です。たとえば休暇の取りやすさや職員同士のコミュニケーションの良さを、実際に働いている人が語ればとても魅力的ですし説得力がありますね。

ICTや介護ロボット導入など新しいものにチャレンジする姿勢があれば、職員の健康を大切にしていることが伝わります。資格取得を具体的に応援してくれる制度があれば、入社後のビジョンが明確になり、腰を据えて長く働くイメージができてきます。

採用につながれば紹介者にインセンティブを付与するのが一般的ですが、既存職員が良好な環境のなか満足して働いていれば、高額なインセンティブがなくても進んで紹介したくなるはず。家族で楽しめる旅行券や食事券など、職員たちが抵抗感なく受け取れるものを用意するのがおすすめです。

アピールポイントはターゲットに合わせて吟味

アピールポイントを組み合わせるパズル

ハローワークや人材紹介、求人媒体などに募集広告を掲載する際には、欲しい人材を明確にしたうえで、「刺さる」アピールポイントを厳選することがコツ。

たとえば長く働いてくれるリーダーや管理職候補が欲しいなら、法人の安定性と将来性をしっかりとアピールしましょう。キャリアアップの道筋や、研修・資格取得支援が充実していることも強調を。

パートタイムで正職員を補佐してくれる人が欲しいなら、希望の時間帯で柔軟に働けることや、職場の人間関係が良好であること、経験者を優遇することなどを重点的にアピール。

育児等で仕事を離れていたブランク組をねらうなら、職場の雰囲気の良さに加え、最新の制度や介護技術についての研修が充実しており、ムリなく勘を取り戻していけることをアピールしましょう。

せっかくの魅力、具体的に伝えよう

笑顔で集まる介護士と利用者

「アットホームで和気あいあい」「OJTでていねいに教えます」・・・求人の際にそんな決まり文句を使っているなら、ちょっと見直してみませんか?

たとえばよく使われる「アットホーム」という言葉、昨今は避けた方が無難かも。「アットホーム」=「家族のような」「家庭にいるような」の裏側に、「家族なんだからみんなのためにガマンするのが当たり前」「家族なんだからちょっとくらいのことは大目に見て」といったブラックなイメージを受け取ってしまう人も少なくないからです。

人間関係が良いことのアピールには、「新人さんの意見にも真剣に耳を傾ける」「介護職と看護職の間に壁がない」「上司が話しやすいのでついつい悩みを相談してしまう」といった具体的なエピソードを入れると、グンと伝わりやすくなります。

自施設のせっかくの魅力が、求職中の人たちに届いていなかったとしたら残念なこと。ぜひていねいに魅力やメリットを掘り起こし、多くの人に届けてくださいね。

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