「超強化型老健」とは、5種類ある介護老人保健施設(老健)のうちのひとつです。
本記事では、「超強化型老健」について、施設の概要・5つの算定要件・メリットデメリットを詳しく解説します。超強化型老健について知りたい介護職の方は、参考にしてみてください。
超強化型老健とは
「超強化型老健」とは、「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他型」の5種類に区分された施設のなかで、在宅復帰・在宅療養支援機能がもっとも高いと認められた施設です。
在宅復帰・在宅療養支援機能をさらに推進するために、平成30年の介護保険法改正において、以下の区分が作られました。
超強化老健として満たすべき5つの算定要件
老健は、厚生労働省により評価項目が設けられています。
前出の表で示されているように、超強化型老健に区分されるには、以下の5つの算定要件を全て満たしていることが必要です。
- 在宅復帰・在宅療養支援等指標が合計70点以上である
- 退所時指導などを行っている
- リハビリテーションマネジメントを行っている
- 地域貢献活動を行っている
- 充実したリハビリを行っている
算定要件について、ひとつずつ見ていきましょう。
算定要件1.在宅復帰・在宅療養支援等指標
在宅復帰・在宅療養支援等指標には、10個の評価項目があります。
それぞれの実績に応じて点数が加算され、合計点数によって「超強化型」などの区分が決まります。(最高値:90点)
- 在宅復帰率
- ベッド回転率
- 入所前後訪問指導割合
- 退所前後訪問指導割合
- 居宅サービスの実施数
- リハ専門職の配置割合
- 支援相談員の配置割合
- 要介護4又は5の割合
- 喀痰吸引の実施割合
- 経管栄養の実施割合
算定要件2.リハビリテーションマネージメント
リハビリテーションマネジメントの要件として、作業療法や理学療法、その他必要なリハビリテーションを計画的に行い、適宜その評価を行っていることが必要です。
入所者の自己実現と生活機能の向上を実現するため、適切なリハビリテーションを提供し、要介護状態や要支援状態の改善、悪化の防止を目指します。
具体的には、以下のような内容です。
- アセスメント実施
- リハビリテーション計画書作成
- リハビリテーション計画書について、本人・家族への説明
- 入所後1カ月、3カ月後ごとの再アセスメント実施
- カンファレンス
算定要件3.退所時指導等
退所時指導等の要件として、退所時指導と退所後の状況確認のふたつを満たしていることが必要です。
退所時指導については、入所者が退所するときに、本人とその家族などに対して退所後の療養上の指導を行っていることが求められます。
退所後の状況確認については、以下のふたつを実施していることが必要です。
- 入所者の退所後30日(要介護4・5の方は2週間)以内に居宅を訪問
- 指定居宅介護支援事業者から情報提供を受けて、在宅での生活が1ヵ月(要介護4・5の方は2週間)以上継続する見込みであることを確認して記録
算定要件4.地域貢献活動
地域貢献活動の要件として、老健の入所者が地域住民と一緒に活動したり、交流を深めたりするなど、地域に貢献する活動を行っていることが必要です。
具体的な活動としては、地域の夏祭りの参加や地域清掃活動、認知症カフェ・健康教室などがあります。それぞれの地域や施設の特徴を生かした活動がされています。
算定要件5.充実したリハビリテーション
充実したリハとして、少なくとも週3回20分以上の個別リハビリテーションを実施していることが必要です。具体的には、以下のように施設ごとに工夫しながら取り組まれているようです。
- 定期的に入所者本人・家族・リハビリスタッフが面談を行い、在宅復帰のための目標を明確にして3回以上のリハビリを行う。
- 畑仕事・レクリエーションなど、1人ひとりに合った方法で日常的にリハビリに取り組めるようにしている。
超強化型老健のメリット・デメリット
超強化型老健にもメリット・デメリットがあります。
超強化型老健のメリット
超強化型老健のメリットのひとつは、高い在宅復帰率の実績があること。入所者にとっては、リハビリなどのサポートが手厚いことなどから、早く在宅復帰をしたい方におすすめです。施設にとっても、高い基準を満たしていることで、高い介護報酬を受けとれるメリットが。
そして介護職員には、質の高い介護や、きめ細やかなコミュニケーションが求められるため、老人保健施設のなかでもさらにスキルアップが期待できます。また、他の老健と比べて介護職員の給与水準が高くなる場合もあるようです。
超強化型老健のデメリット
在宅復帰率の高さは超強化型老健のメリットではありますが、他の介護施設と比べて部屋の回転率が高いため、介護職にとっては、覚えることが多くなります。関わる職種が増えるので、多職種とのこまめな連携や意見の調整も必要です。介護職にとっては、仕事が他の施設に比べて多くなる点で、忙しくなったと感じる職員もいるようです。
その分、他の老健では経験できないこともありますので、「もっとスキルアップしたい」という方は、超強化型老健の勤務を視野に入れてみるとよいのではないでしょうか。
超強化型老健は、スキルを磨き、やりがいを持って働きたい人におすすめ
超強化型老健は、他の介護老人保健施設に比べて在宅復帰支援がいちばん充実している施設です。部屋の回転率が高いため慌ただしさを感じこともあるようですが、在宅復帰を目指すという目標に向かって連携を取りながら入所者をサポートできるため、やりがいや喜びを感じられます。また、より質の高い介護が必要になるので、自分のスキルアップにつながるでしょう。
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